ニュースの眼
京義線の連結
交通・物流で大きな経済効果
中国、ロシア、欧州大陸と結ぶ大動脈に
南北和解、平和の象徴
かつての朝鮮半島の大動脈、京義線(新義州―ソウル)を連結するための復元工事が始まった。18日、南側部分の起工式が行われ、近く北側でも着工する予定。もちろん、莫大な投資が必要だが、大陸へつながる陸路の確保という意味で交通・物流面での経済効果は小さくない。また軍事境界線、非武装地帯に妨げられ、分断の象徴とも言われてきた同線の連結は地雷除去をはじめ必然的に軍事的な緊張緩和を伴うものであり、南北和解、平和の象徴としての政治的な意義も大きい。京義線とはどんな鉄道なのか。そして連結の復元工事着工にいたる経緯、意義などについてみた。 朝鮮西海岸の最北端、中国と国境を接する新義州とソウルを結ぶ京義線(全長486キロ)は1906年に運行を開始。45年に運行を中断するまで、朝鮮半島と大陸を結ぶ物流・交通の大動脈の役割を果たしていた。しかしこの鉄道、実は大陸侵略を狙った当時の日本帝国主義が、軍事物資の輸送を目的に強制的に敷設したものだった。 45年8月15日の解放後、南北分断に伴い同線の運行も9月11日を最後に全面的に中断された。さらに朝鮮戦争で線路が破壊され、停戦によって非武装地帯が設置されたことで、北はポンドンから南はムンサンまでの約20キロが完全に断絶されて今にいたる。 つまり、今回の復元・連結事業は、初めて朝鮮民族が自らの手で大陸への大動脈を取り戻す作業でもある。 来年9月にも完工 南側の復元部分は、板門店から西へ少し行った軍事境界線上の長端からムンサンでの12キロ。土木工事、線路敷設のほかに臨津江に橋をかけ、ムンサントンネルを補強する。北側の復元部分は長端からポンドンまでの8キロ。軍事境界線から南北2キロずつ計4キロは非武装地帯だ。 工費はそれぞれ日本円に換算して南側が約53億円、北側が87億円と推計されている。 南側では現代、大宇、三星など財閥系ゼネコンが共同で施工にあたり、北側では朝鮮人民軍の「2個師団、3万5千人」(金正日総書記)が担うことになるようだ。ただ工事区間内には南北双方地域ともに無数の対人、対戦車地雷が埋め込まれていて、その除去作業のために南側でも軍隊が大量に動員される見込み。 南側では、来年九月までに完工させる予定だとしている。 京義線が連結されれば、新義州から中国側の鉄道につながり、交通・運輸面で朝鮮半島全体を大陸と結ぶ大動脈となる。とくに南の経済界では、中国、ロシア、ヨーロッパへと続く「鉄のシルクロード」に期待が高まっている。 南側の試算では、従来の海路による物資輸送より費用が3分の1に減り、時間も5分の1に短縮される。北側でも、運賃収入や経済交流活性化への期待は大きい。 ただ、続く経済難によって北側の鉄道網は老朽化が進んでおり、交通・輸送を本格化、円滑化させるには線路や路盤の強化、改善が不可欠だ。その辺を考慮すると投資額は決して小さくはなく、南北双方にとって負担が軽いと言えば嘘になる。しかし、南北共同宣言でもうたわれた「経済協力を通じた民族経済の均衡的な発展」を考えた場合、必要なプロセスであり、将来的な経済効果は大きいと言えるだろう。 南北分断後、運行が中断、線路が寸断された鉄道は京義線のほかにも元山―ソウルの京元線、内金剛―鉄原の金剛山線、元山―江陵の東海北部線がある。 南の建設交通部では、京義線に続いて京元線の連結に向け、準備を進めているという。京元線がつながれば、鉄道が朝鮮東海岸側を経てロシアへと結ばれることになる。(韓東賢記者) |