私の会った人
中村百合子さん
平壌スケッチ紀行を敢行したこともある洋画家中村百合子さんの「哀しみのひまわり」と題した第91回目の個展が25日から30日まで東京・銀座のギンザギャラリーハウスで開かれる。
中村さんの今度の個展は、欧州からアフリカ、中東、インド、中国、朝鮮という西から東への27年に及ぶ50ヵ国以上の国々への旅の足跡や平壌で描かれたスケッチなども展示される。 中村さんの絵の特徴は、とくにインドへ約20回、中国15回と精力的に旅し、パリ、ロンドンなどで暮らし、チュニス、トリポリなどに何度も通いとらえた「人間とその営み」であろう。それぞれの街のエネルギーが絵の中からこぼれるような錯覚を覚える。 画家のエネルギッシユな気迫と、古今東西の歴史と人へのくめども尽きぬ愛と興味が凝縮されたそれぞれの絵は鑑賞する人々を魅了するだろう。 「世界中を旅して心引かれるのは砂漠。砂漠では私はひとり。大自然の摂理の不思議さと神秘さと。めくるめくような思いの中で、人間の原点に回帰するのです」。 5年前、尼崎市の自宅で大震災にあい、家も塀も壊れた。この時、中村さんは自宅の修理を後回しにして、まず被災した神戸の朝鮮学校の救済運動、京都で開かれた日朝友好文化フェスティバルへの参加など精力的な活動をこなした。 個展には、美術ファンはもとよりそうした活動を知る在日朝鮮人らが、毎年多数つめかけている。(粉) |