朝・日コッポンオリ
競技大会

「新体操」包む熱い風


「まるで、国際試合のようでした」、「朝鮮のお友達が出来て嬉しかったです」。体育館をあとにする日本人選手と指導員たちは、口々に満足気な言葉を残し、去っていった。9月9日。過ぎゆく夏の太陽が最後の猛威をふるったこの日、朝鮮大学校体育館で、小学生の新体操競技大会が開かれた。

朝鮮の友達ができてうれしい


 大会の名称は「コッポンオリ賞 競技大会」。新体操を楽しむ各地の初級部学生たちを対象にした大会で、今年で7回目を数える。選手の裾野を広げ、体系的な育成を目指し、「新体操研究会」が組織・運営している。

 今年は初めての試みとして、朝大近隣の新体操クラブに所属する日本人選手たちを招く親善試合。

 ウリハッキョ5校、クラブ3団体、総勢35人の選手たちは、低学年の部と高学年の部に分かれ、日頃の練習成果を披露した。

 低学年部門では、今春小学生になったばかりの1年生をはじめ愛らしい選手たちが、かわいい演技で会場を沸かせた。彼女たちには、敢えて採点をせず、1人1人の演技に合わせてそれぞれ、優秀賞、ノリノリ賞、きれい賞、頑張ったで賞、しなやか賞、元気賞を授与。表彰式では参加者全員が賞状をもらえるように工夫をした。

 この賞状が、選手はもちろん観戦に来た父母たちに大好評。「朝鮮語と日本語、2つの言葉で書いてあって、かっこいい」と、歓声をあげる子供もいれば、「これからの励みになります。子供を中心に考えた、あったかくていい賞状ですね」と、声をかけてきた日本人のお母さんもいた。

 一方、4年生から6年生までの高学年部門は、実力が伯仲する素晴らしい試合展開となった。

 体の動きと線を重視するウリハッキョと技を重んじる日本の選手。対照的なそれぞれの新体操は、お互い良い刺激となった。ウリハッキョでは、ウリナラに習い、新体操を芸術体操とよんでいる。芸術的な動き、情緒的な踊りを追求し、練習でもウリナラの指導法をふんだんに取り入れている。音楽の使い方、何気ない振り付け、どれをとっても朝・日それぞれの特徴がよく出ていて、まるで本当に国際試合のようだった。

 結果は、東京第3初級学校の趙瑞姫選手が、91点という高得点で優勝した。大会実行委委員長の韓錦女朝大教員は「日本の選手や保護者の方々にウリハッキョの存在を知ってもらう良い機会になりました」と大会の成功を心から喜んでいた。「ウリハッキョ」という枠を越え、大きな一歩を踏み出した貴重な大会となった。
 
 大会を盛り上げたもう1つのアイテムは、朝大の新体操用マットだった。昨年のワールドカップで使われたもので、憧れの国際選手もウリナラの選手もそのマットの上で華麗な演技を披露した。

  「どうやって手に入れたんですか」と聞く日本人指導員たちに、朝大在校生の父母や卒業生たち、有志らに協力を呼び掛け、買い取ったのだと説明すると、心の底から驚き、感心していた。未来に花咲くコッポンオリたちに注がれる愛情を象徴するかのように体育館に備えられた新しいマット。募金活動に協力して下さった同胞や卒業生の顔が次々と浮かび、子供たちの演技がより輝いて見えた。

  残暑に見舞われた当日の体育館は、じっと座っているのも辛いほどの暑さだったが、あながちそれは気温のせいだけではなかったかも知れない。大会の準備から運営まで、まるでプロのスタッフの様にテキパキと仕事をこなした朝大の新体操部員、2日前に中央体育大会を終えたばかりの東京朝高生たち。みながこの大会のために力を尽くしてくれた。その熱気が体育館を包み、熱い風となって吹きあれた。

 忙しい1日を終え、ホッとする大会進行委員に、日本人指導員が声をかけてきた。「来年もまた、呼んで下さいね!」。主催者にとって、何よりも嬉しい一言だった。(全佳姫 新体操審判員)

日本語版TOPページ

 

会談の関連記事