総聯同胞故郷訪問団
今日、ソウル入り
南北共同宣言、着実に履行
金正日総書記のソウル訪問、日程に シドニー五輪開会式で合同入場行進 歴史的な6・15南北共同宣言から3ヵ月余、宣言は着実に履行されつつある。第1次総聯同胞故郷訪問団(団長=朴在魯・総聯中央副議長兼朝鮮新報社会長)が今日、成田空港を発ちソウル入りした。また14日、ソウルを訪問した金容淳・朝鮮労働党中央委書記と南側は共同報道文を通じて、金正日総書記が近いうちにソウルを訪問すると発表した。さらに15日、シドニー五輪の開幕式では南北が合同で入場行進を行った。共同宣言が、はっきりと目に見える「形」になってきた。 すべての発端、基礎となっている南北共同宣言は、南北が@統一問題を民族同士が力を合わせ自主的に解決するA統一のための北側の低い段階の連邦制案と南側の連合制案の共通性を認め、この方向で統一を志向するB離散家族再会や非転向長期囚問題の解決など人道的問題を早急に解決するC経済協力を通じて民族経済を均衡的に発展させ、社会、文化、スポーツ、保健、環境など各分野で協力と交流を活性化し、信頼を築くD合意事項を早急に実践に移すための当局間対話を開催する――とうたい、金正日総書記のソウル訪問についても明記した。 総聯同胞の故郷訪問は、Bの履行にあたる。在日同胞のほとんどは朝鮮半島南部の出身。しかし解放後、北側の政権を支持し、総聯に結集した人たちは、南の歴代独裁政権の反共、反北政策によって故郷を訪問することができなかった。その意味で、総聯同胞は離散家族の範ちゅうに含まれる。 7月末にソウルで行われた第1回南北閣僚級会談で北側がこの問題を提起。総聯同胞が訪問団をつくり故郷を訪問できるよう協力し、適切な措置を取ることで南側と合意した。 総聯同胞の故郷訪問団は、歴史的な南北共同宣言が在日同胞にもたらした1つの大きな結実だ。年内にあと数回実施、今後も継続的に行われていく。 金容淳書記は11〜14日、南を訪問し、朴在圭統一部長官、林東源国家情報院院長らと会い、共同宣言の徹底的な履行への南北両首脳の意志を再確認し、そのための懸案問題について詰めの協議をした。14日に発表された共同報道文は、金正日総書記の近い時期のソウル訪問と、これに先立つ金永南・最高人民会議常任委員長のソウル訪問について明記し、南北国防相会談開催問題が現在論議中であることを歓迎した。 金正日総書記のソウル訪問は、すでに共同宣言に盛り込まれてはいた。今回、「近い時期に」と明記されたことから、水面下で相当具体的な話し合いがあったと推測できる。実際、金大中大統領はマスコミの取材などに対して「(時期は)来春」と答えている。 総書記はかねてからソウル訪問の時期について、共同宣言履行状況の進展次第と述べていた。近い時期に訪問するという合意発表は、履行状況に対する北側の満足感の表れでもある。総書記のソウル訪問は、南北の和解と団結への流れを完全に決定づける、一大イベントとなるだろう。 国防相会談について言えば、軍事的な緊張緩和の問題は、南北共同宣言には盛り込まれていない。また南側は軍事当局者会談を強く望んできたものの、北を「主敵」とする概念を変えておらず、軍事統帥権をいまだに米国に握られているなど、南北が主体的に緊張緩和へと進むための障害をかかえている。 しかし、南北の和解、共同宣言の履行に緊張緩和は不可欠だ。今回、国防相会談が日程に上ったということは、統一問題を自主的に解決するという共同宣言の精神で行われるということであり、南側に上記の障害を解消していく意思があるものとみていいだろう。共同宣言履行の幅を広げ、新たな段階に進める大きな進展と言える。 全世界が注目したシドニー五輪の合同入場行進。世界の大舞台でワンコリアをアピールし、共同宣言の精神、南北の強い決意を対外的に示した意義は大きい。北側選手団の尹成範団長(体育指導委員会副委員長)は「南北共同宣言第1項の、南北が統一問題を自主的に解決しようという精神」に沿って合同行進が実現したと語った。 五輪での統一チーム構成の話はこれまでも度々持ち上がったが実現することはなかった。91年には世界卓球選手権、世界ユースサッカー選手権で初の統一チームが実現したが、その動きは続かなかった。 |