シドニー五輪
ワンコリア、世界にアピール

南北合同入場行進、体連副会長も


 【シドニー発=千貴裕記者】15日、オーストラリア・シドニーで始まった20世紀最後となる第27回夏季オリンピック大会の開会式で、初めて共同で入場行進した南北朝鮮選手団。各競技会場でも、共に熱心に双方選手を応援している。18日現在、朝鮮は女子ウエイトリフティグ58キロ級でリ・ソンヒが銀メダル、女子柔道52キロ級でケ・スニが銅メダルに輝き、南は銀2、銅1のメダルを獲得している。

400人の同胞応援団、一緒にエール

 開会式の入場行進。199ヵ国・地域(出場は200)中、96番目、「KOREA」と書かれたプラカードと白地にブルーの朝鮮半島が染め抜かれた「統一旗」を先頭に、南北朝鮮の選手団180人が会場に登場した。スタジアムを埋め尽くした11万余人の観客は一斉に立ち上がってスタンディング・オベーション。国際オリンピック委員会(IOC)のサマランチ会長ら組織委員会メンバーや貴賓席の賓客らも立ち上がり、観客と共に大きな拍手と歓声で合同行進を歓迎、祝福した。

 選手団のユニフォームは、胸に「統一旗」をかたどったワッペンのついた紺色のブレザーにベージュのパンツかスカート、白いシャツにオレンジ色のネクタイで統一。誰が北で、誰が南かまったく分からない。

  「統一旗」の旗手は、北のパク・チョンチョル・柔道男子監督(39)、南の鄭銀順・バスケットボール女子キャプテン(29)の2人だ。

 ブラスバンドが奏でるアリランのメロディーに合わせ、北の張雄・国際オリンピック委員会理事、南の金雲竜・韓国オリンピック委員会会長をはじめ南北両選手団団長、選手、在日本朝鮮人体育連合会の琴栄進副会長らを含む役員らがつないだ手を高く掲げ笑顔で行進した。

 北側選手団のユン・ソンボム団長(朝鮮体育指導委員会副相)は「南北共同宣言の第一項、南北が統一問題を自主的に解決しようという精神で、合同で行進することにした。共同宣言の発表後、初めて行われた大きな国際大会で南北選手団の合同行進が実現したことは、全世界に朝鮮が一つだということを示し、スポーツの分野で統一を目指す第一歩となった」と満足げに語り、「今日の合同行進を契機に、民族競技であるテコンドーなどから統一チームを実現させていきたい」との意向を表明した。

 一方、17日の柔道の会場では、400人の在日同胞をはじめ、南から駆けつけた応援団、オーストラリア在住の僑胞らが一緒になって、南北の選手を熱く応援した。

 白地に青い朝鮮地図の描かれた「統一旗」と「2000シドニー・コリア応援団」、「ONE KOREA, WIN SYDNEY」というメッセージがプリントされたお揃いのTシャツを着た応援団は、「われらの願い」「アリラン」などを歌いながら声を枯らして声援を送った。

 こうした応援に対し、女子52キロ級で銅メダルを取ったケ・スニは「期待に応えられず銅に終わって残念だったが、2つの祖国にメダルを捧げたい。2つの祖国は分かれていてはいけない」と語った。

重量挙げ女子58キロ級リ・ソンヒ銀
柔道女子52キロ級ケ・スニ銅

 18日に行われた女子ウエイトリフティング58キロ級で、ジャークの世界記録保持者、リ・ソンヒが銀メダルを獲得した。記録はスナッチ97・5キロ、ジャーク122・5キロ、トータル220キロ。

 17人が出場した同競技はスナッチから行われた。1回目の試技で95キロをあげて他を圧倒したリは、2回目の試技で97・5キロに成功して3回目を棄権。2位のメキシコ選手を2・5`離してトップに立った。

 しかし、続くジャークの1回目の試技で120キロをあげたリが、アナウンスに従い2回目の試技のために競技台へ進むと、そこには順番を間違えたタイの選手が待機していた。このアクシデントに時間を取られ、2回目の試技は時間オーバーで失格。3回目の試技で122・5キロに成功したものの、2・5`差で金メダルに手が届かなかった。

 また17日に行われた女子柔道52キロ級で、ケ・スニが銅メダルを獲得した。

 1回戦(1本勝ち)、2回戦(優勢勝ち)、準々決勝(1本勝ち)と順調に進んだが、キューバの強豪、ベルデシアとの対戦となった準決勝では惜しくも2―1の判定負け。リ・ソンチョル・朝鮮女子柔道責任監督は「いつもより過度に緊張していたようだ」と敗因を分析した。ケは、気を取り直して臨んだ3位決定戦で、ルーマニアの選手を合わせ技一本で下し、銅メダルを決めた。

 一方、16日に行われた同女子48キロ級に出場したチャ・ヒョニャンは1回戦を1本勝ち、2、3回戦はそれぞれ優勢勝ち。準決勝では日本の田村亮子と互角にたたかったが惜しくも判定で敗れた。

 ベルギーのシモンとの3位決定戦では終了10秒前、お互いがかけた技に当初チャの有効を取った審判が後でシモンの有効に訂正するという「疑惑」の判定でチャが負け、結局、5位入賞に終わった。会場からはブーイングの嵐。南の男子柔道チームのパク・チョンハク監督も「チャの有効だと思う。審判の誤審では」と語る。朝鮮側は公式に抗議する予定だ。

 また17日、アーチェリー女子個人予選でチェ・オクシルがベスト16に入り、ボクシング48キロ級ではキム・ウンチョルが一回戦を突破した。ウエイトリフティング男子62キロ級に出場したイム・ヨンスは失格に終わった。

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