専門家による「キムチ・セミナー」

世界ブランドとして定着

日本でも漬物生産量1位


 朝鮮半島の代表的な食品であるキムチは、もはや、日本で在日同胞の食卓だけに並ぶものではなくなっている。激辛ブームや、抗癌作用の健康食品として、最近はダイエットにも効果があるということで、キムチがますます注目を浴びている。14日、東京・お台場で開かれた「キムチ・セミナー」では、専門家もキムチはただの漬物の域を脱した食品だと指摘していた。

保存食品が発展

 キムチは、朝鮮の三国時代の7世紀頃から朝鮮半島全域で食べられてきた食品で、使用材料、季節、地域別に独特で多用な種類に発展してきた。もともとは、冬に備えるための保存食品とされていたが、今では朝鮮半島を代表する一品となっている。

 キムチは使われる材料や漬ける方法によって細かく分けられ、白菜キムチ11種類、大根キムチ21種類、浸しキムチ20種類、そのほか、水キムチ、ねぎキムチ、海草キムチなど100余種を遥かに越える。まさに朝鮮半島の地域の文化とともに発展してきた食品だといえる。

 南朝鮮のキムチ研究の第一人者である朴完洙博士は「キムチは、ドイツのフランクフルト、フランスのボルドーワイン、デンマークのモザリナチーズなどとともに、伝統食品として優れている点は科学的に立証されており、世界的ブランドとして認められるべき食品だ」と、話す。

 朴博士は、キムチに使う唐辛子は、もともと中国から日本に先に入ってきていたが、食べ物に使い出したのは朝鮮半島の方が早く、もともと朝鮮産の唐辛子はたいへん優れていて、辛いだけでなく食品に使うと甘みが加わり、朝鮮民族が好む赤い色だったことから食にもとり入れやすかったと説明した。まさに、キムチは栄養源だけでなく、味、色、香りを満足させ、健康にも貢献するスーパー食品だと指摘する。

たくわんは減少

 さらに最近、注目されているのが、日本でのキムチの消費量が年々増えている点だ。

 漬物新報社が明らかにした食品需給研究センターの調査によると、日本でのキムチ消費は、1999年には、全漬物生産量110万トンのうち、キムチだけの単品で25万トンと、たくわん、浅漬けを抜いて堂々の1位となっている。

 同新報社の金原俊道代表は、「今では漬物に関する記事のほとんどを、キムチが占めている。キムチはニュース性に富み、色々な角度から語ることができる奥深い食品」と、生産量の伸び率を当然だと分析する。

 キムチの栄養学的効能について研究している宇都宮大学の前田安彦教授もキムチを絶賛する1人だ。

 前田教授は「キムチは不揮発生の唐辛子、揮発性の辛味ニンニク、ねぎ、大根、生姜を合わせて作った世界で唯一の食品。2000年初等には国際貿易上重要な食品とする国際的な規格が策定されるだろう」と指摘した。

差別から制覇

 在日同胞は、キムチが日本でこれだけ普及されていることについてどう見ているのか。

 焼肉店、朝鮮乾物店が密集する東京・上野の一角で、オモニの代から40年も乾物屋を営んできたという姜恩順さんは、「昔、日本でキムチといえば在日同胞を差別する時に使われることがあった。幼い頃から家が乾物屋をやっていたため、胸がいたく泣いたこともあった。でも今は、多くの日本人が買い求めに来る。漬物と言えばキムチというように、日本人の食をも制覇した感がある。在日同胞は本場の味を守りながらも、消費者側に立って、味の研究を進めていくとともに、保存し易い冷凍キムチやインスタントキムチなどを研究してはどうか」と意見を述べていた。

 セミナーでは、出席者のほとんどが、キムチの需要は今後も伸びると予測しながら、味はもちろん健康や栄養面からの科学的な研究も進み、まさに世界的な食品として位置付けられるだろうと指摘していた。
(金美嶺記者)

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