10月1日から実施
国勢調査Q&A

何を調べ、どこに利用?


 日本に在住するすべての人を対象にした統計調査となる日本政府の国勢調査(5年ごと)が、10月1日から実施される。今年はとくに10年ごとの大規模調査に当たる年だ。この調査は、国籍に関係なく実施されるので、当然在日同胞も調査対象となる。調査される側は、どのような調査なのか、何に利用されるのかぜひ知っておく必要があろう。Q&A方式でまとめてみた。

人口分析し行政に/プライバシーは完全保護


 Q  国勢調査とはどのような調査なのか

 A  日本国内の人口や世帯の実態を明らかにするため、5年ごとに実施されるものだ。国で行う基本的な統計調査は、そのほとんどが統計法に基づく指定統計調査として実施されている。国勢調査は、そのなかでもっとも基本的な統計調査として統計法により日本政府にその実施が義務付けられ、指定統計の第一号に指定されている。

 Q  調査結果はどのように利用されるのか。

 A  行政はもちろん、都道府県や市区町村の行政に利用されるなど、行政にとって欠くことのできない資料となる。たとえば福祉政策、どの地域にどれほどの対象者がいるのかなどの調査資料に基づいて推進される。もちろん、人口学、地理学、社会学、経済学などの人口分析にも利用される。

集計後は溶解処理

 Q  集められた個人情報におけるプライバシーは守られるのか。

 A  同胞の間からこうした疑問がわくのは、当然かも知れない。まず、国勢調査は統計法の規定に基づいており、調査した人が調査結果をほかに漏らしたり、調査票を統計を作る目的以外に使用することを固く禁じられている。そのために、資料は厳重に保管され、集計が完了した後は溶解処理されることになっている。

 調査結果に基づいて作成された報告書は、12月から公表され、都道府県の公立図書館や都道府県・市区町村の統計担当課などで誰でも閲覧することができる。また、総務庁統計局には統計図書館があり、統計数値の問い合わせなどに対する統計相談も行っているため、問い合わせや利用が可能となっている。

国籍統計に必要

 Q  どんなことを調査するのか。

 A  今回の調査は、10年に1度の大規模調査となるので、22項目に分類されている。

 まず、世帯員一人の項目は、氏名、配偶者の有無、国籍、現在の場所に住んでいる期間、職業、など。世帯については、世帯の種類、世帯員の数、住宅の種類などにわかれる。

 在日同胞を含む外国人の調査は、国籍別の統計を作るうえで必要となる。これは国連が勧告しているもので、各国でも人口統計調査によって、どれだけの外国人がその国に在住しているのかを知らせるようになっているものだ。

 Q  統計によって、何がわかるのか

 A  ここで出された統計は重要だ。人口問題は、色々なことに反映される。

 たとえば人口統計によって、日本の人口の年齢構造の将来的な傾向が分かる。国立社会保障・人口問題研究所から出される「日本 
の将来推計人口」では、出生率の低下と平均寿命の伸長に伴い、人口の少子・高齢化が急速に進んでいることがわかり、その施策をたてるために利用される。また、社会保障、福祉問題に触れる時の要因として挙げられている。2007年をピークに、長期的な人口現象をたどる、などの予測は、こうした統計に基づくものだ。

 Q  世界各国でもこのような調査は行われているのか。

 A  世界における人口調査の歴史はわりと古い。紀元前3000年頃のエジプト、中国の人口調査などにさかのぼる。当時は、国内的な統制などが主だったが、近代の調査は、国内の各行政に利用するだけでなく、諸外国と比較することが国際的な視点から重要だとされている。このため、国連などの統計関係の国際機関は、早くから調査事項、集計事項、分類などの国際基準の作成に力を注ぎ、勧告を行っている。

 国連の資料によると、2000年前後に約200の国・地域で人口統計調査が行われている。

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