インタビュー
駐日イタリア大使館 マリオ・パルマ参事官
朝鮮半島の平和に寄与を
今年1月4日、朝鮮とイタリアは国交を結び、世界の注目を浴びた。国交樹立の意義や朝伊関係、朝鮮半島情勢などについて、駐日イタリア大使館のマリオ・パルマ参事官に話を聞いた。 G7初、誇りに思う ―朝鮮との国交樹立にあたって、イタリア政府としての立場は。 朝鮮との国交樹立は、かねてより朝鮮半島全体との関係を正常化すべきであるというイタリア政府の政策を実行に移したものだ。われわれは、朝鮮を国連加盟国のうち唯一の未承認国として放置しておくのは異常で不自然なことと感じていた。また朝鮮が近年、国際社会に対してきわめて肯定的に対応していることも踏まえたものだ。 ―イタリアは、G7の中で朝鮮と国交を結んだ最初の国となったが。 われわれはこのことを誇りに思っている。外交問題におけるイタリア政府の基本原則は、世界のすべての地域において平和を維持することにある。政府が外交政策で具現しているもう1つの原則は、あらゆる国と対話を行うこと。われわれは朝鮮半島における緊張緩和と平和構築に寄与したいという願いも込めて、他のG7諸国に先んじて平等の立場で朝鮮との関係正常化に踏み切った。なぜなら、この問題はすでにグローバルな問題であり、世界平和にとって緊要だからだ。 ―朝鮮問題は、国際的にも最大の焦点の1つとなっていると思うが。 その通りだ。7月の沖縄サミット(主要国首脳会議)でも、先日の南北首脳会談の成果が評価され、さらなる南北関係の進展が促された。また、初めて朝鮮半島問題に関する単独のコミュニケが発表され、この地域の重要性が強調された。 われわれは、朝鮮の外交活動がきわめて前向きで活発になったことをはっきり認識している。国際社会はこのことを大いに歓迎し、支持すべきだと考える。 ―六月の南北首脳会談をどう評価するか。 私自身、テレビを通じて南北首脳会談の場面を見て深い感動を覚えた。朝鮮半島を巡る複雑な現状は冷戦時代の遺物であり、今の時代の流れにそぐわない。今回の会談は、朝鮮人民が当事者として自ら問題解決のための打開策を講じ、新たな出発点をもたらした、民族分断史上、特筆すべき偉大な契機だった。 朝鮮半島の平和と安定は、単にこの地域にとどまらず、西欧を含む国際社会にとっても緊要な問題だ。朝鮮が引き続きこのような肯定的で正しい方向に進むのを、全世界の人々は切に望んでいる。 南北朝鮮の前にはまだ多くの難関が立ちはだかっているだろうが、会談後の好ましい進展状況を見ると、双方が互いに努力、協調しながら民族の和解と統一のプロセスを早めようとするはっきりとした意志が見てとれる。 またより重要なことは、朝鮮人民が民族の伝統への高い誇りとともに、国の再建に向けて強い自信を持っているという事実だ。その民族的プライドと確信こそ、未来を約束するすばらしい原動力となっている。 ―朝伊国交正常化はまた、朝鮮半島におけるより多くのビジネスチャンスをもたらすのでは。 同感だ。朝鮮半島の現実に鑑み、当分の間、イタリア政府としては民間企業が朝鮮に投資するのに好ましい環境を整備するために協力する用意がある。その多くのケースでは、南の企業が関わることになるだろう。例えば、イタリアの有名な自動車メーカーであるフィアット社は、南の企業と共に北での合弁事業を開始しようとしている。他のイタリアの民間企業もこれに習う傾向が見られるが、こうした形態は長期的に見ればすべての当事者の利益となるものと言える。 もちろん、2国間の交渉も進んでいる。例を挙げると、最近、イタリア有数の世界的なアパレル企業、ベネトン社の会長が、朝鮮の古い友人である国際問題研究所のバロリ事務局長と共に初めて訪朝したが、2国間の経済関係にとって象徴的な好ましい出来事だ。 ―朝鮮人とイタリア人は、サッカーに熱狂するのをはじめ、民族性や文化、伝統などで似通った点が多く見られるが。 両者には多くの共通性が見られる。今後、文化やスポーツの交流は大いに期待できると思う。 ―在日朝鮮人にとってもイタリアはさらに身近な存在となったが。 われわれが新たな関係を結ぶことで、在日朝鮮人にもビジネスチャンスが増えるのではないか。イタリアの文化、料理、グッズはすでに日本社会に深く溶け込んでいるので、在日朝鮮人にとってもそれをビジネスに生かさない手はない。 ビザの手続きも簡素化されたので、みなさんの中でツアーを組むのも勧めるし、イタリアとの貿易もやり易くなった。トライしてみる価値のある材料はたくさんあると思う。(崔寛益記者) |