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負けるなワープロ


 ワープロとはマイクロ・プロセッサーを用いて、文章の入力、記憶、編集、印字の処理を行なう装置。ワープロの誕生は便利な筆記道具として以上に、日本語の文書作成に質的な変化と発展をもたらした。この拙文もワープロで打っている。

 漢字、ひらがな、カタカナ。3種類の文字を日常的に使って文書を書くのは、世界でも日本語くらいだろう。そのため、パソコンによる文書作成は不可能だと言われてきた。しかし、そこは器用な日本人。試行錯誤のすえにワープロを完成させたのが20年前。1号機は重さ220キロ、価格は630万円だったが、いまや手軽に買える家電となった。

 その文書作成と処理能力、簡便さはパソコンの比ではない。発展途上のパソコンみたく、すぐフリーズして機嫌を損ねることもない。しかし今、パソコン利用者が増えたために、ワープロ事業からほとんどの企業が撤退してしまった。まさに風前の灯。市場経済の非情さをここでも見せつけられる思いだ。

 英知と努力のつまった、こんな素晴らしい家電を捨てるなんて愚の骨頂。知の努力の集積に対するぼうとくと言えば言いすぎか。大量に売れなければ作らないという資本の論理は、結局、自らを滅ぼす結果を招くことになりはしないか。しかし、ワープロは細々とでも生き残っていくと信じたい。そして、朝鮮語も打てるワープロができる日を一日千秋の思いで待ち焦がれている今日この頃だ。(趙)

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