在日朝鮮同胞敬老の日

願いは故郷訪問

ウリマル学ぶ89歳
姜金順ハルモニ(北九州市)


 今日、9月15日は「在日朝鮮同胞敬老の日」。各地で様々な行事が予定されているが、8月29日、89歳の誕生日を迎えた福岡県北九州市に住む姜金順ハルモニ(1911年生まれ、慶尚南道出身)は同日、一足早く孫やひ孫ら約40人の一族から祝福を受けた。またこの日は、奇しくもハルモニと同じ日に生まれたひ孫の「東輝ちゃんのハンドル(1歳の誕生日)。祝いのテーブルには金さんの好物、野菜がたくさん入ったチヂミや餅、食べると健康で長生きするという鯛、鯉さし、から揚げ、煮染めなどのごちそうが並んだ。

朝鮮新報がテキスト

 姜ハルモニは現在、五男二女の末息子、「栄東さん(50)夫妻と3人の孫に囲まれ、日々の生活を送っている。

 日課は、散歩とウリマル(朝鮮語)の練習。ウリマルは、6年前から4男の「東録さんに習っている。家では朝鮮学校に通う孫たちの教科書を指差しながら「これはなんちゅと?」と教わる日々だ。

 また、週3回送られてくる朝鮮新報は姜ハルモニの貴重な「テキスト」。記事の大まかな内容を東録さんに説明してもらいながら覚えた単語を拾う。最近は南北の和解ムードがあふれる記事が多く、新報が届くのが待ち遠しいという。

 祖国解放(1945年8月15日)前まで朝鮮半島では、男女の差別が激しく、女性が勉強するのは非常に難しかった。

 解放後も、日雇い労働で働く夫を支え7人の子供を育てるために、畑で作ったニンニクやサンチュを売り歩く日々で学ぶ余裕はなかった。

 そんな姜ハルモニだったが、6年前、大学生の孫に鉛筆の握り方を教わったのをきっかけに、ウリマルを学び始めた。そのかいあっってか、今では「アンニョンハシムニカ」「アボジ」「オモニ」などの単語を書けるようになった。

 姜ハルモニの願いは、東輝ちゃんとともに一族そろって統一した祖国、故郷の地を踏むことだ。

 テレビで南北首脳が握手を交わした瞬間、姜さんは頬を涙でぬらしながら「クムガッタ、トンイリワッナ!(夢のようだ、統一が来たのか!)」と大声を上げたという。

 息子や孫らも、「ハルモニの願いを早くかなえてあげたい」と心境を語っていた。

 この日の祝いの席、残念ながら東輝ちゃんは幼いので、ごちそうはまだおあずけ。

 食事が終わった後は、カラオケで大いに盛り上がり、姜さんと東輝ちゃんも盛んに曲に合わせて手拍子を打っていた。

日本語版TOPページ

 

会談の関連記事