春・夏・秋・冬

 ようやく実現することになった総聯の同胞たちの故郷訪問。1世たち50人、出発は22日である。閣僚級会談の合意に基づくものだが、祖国の解放から55年、ようやく故郷の両親、兄弟、親族と会えることになった彼らの心中や、喜びと不安が交錯していることだろう

▼朝鮮には、「10年ならば 江山も 変わる」ということわざがある。読んで字のごとく、10年経てば山や川も変わる、という意味である。故郷を離れて55年、いや、強制連行で渡日を余儀なくされた時を加算すると、ほとんどの人がそれ以上の年月が過ぎているだろう

▼その長い別離の間にほとんどの人が両親を亡くし、兄弟が亡くなった人も少なくない。済州道を故郷とする人々には、あの忌まわしい4・3虐殺事件(48年)があった。さらに4年余の戦争。行方の知れない肉親も居るはずである

▼その後の軍事独裁政権下で、総聯活動家、支持者の関係者はひどい政治的迫害を受けた。先の南北離散家族の交換訪問の時、「北に親、兄弟がいることを口にすることは、生命にかかわることだった」と回顧した人がいたが、同じ境遇だったろう。政治的迫害は生活に直接、跳ね返る

▼長年会えなかったことより以上に、愛しきアボジ、オモニ、そして兄弟の死に水を取れなかった悲痛な思い…、どれも涙なしでは語れない

▼故郷訪問は、今後も数回行われるという。金正日総書記と金大中大統領の対面、南北共同宣言発表によって大きく動き出した統一の流れを後押しする第1歩になることを希望して止まない。(彦)

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