70〜90代の1世同胞50人/ソウル、地方都市で肉親と

55年来の宿願果たす

総聯中央が発表、年内に数次予定

「第1次総聯同胞故郷訪問団」/22日から5泊6日


 総聯中央の南昇祐副議長は8日、東京の朝鮮会館で記者会見し、7月の南北閣僚級会談で合意されていた総聯の故郷訪問問題で、第1次訪問団を今月22日から5泊6日の日程で派遣すると発表(談話全文は別項)した。第1次「総聯故郷訪問団」は、総聯中央副議長の朴在魯・朝鮮新報社会長を団長に、70代から90代までの1世同胞50人と随行員、記者ら13人の総勢63人。南側の窓口は大韓赤十字社で一行は、ソウルや地方都市で肉親と再会する。また南昇祐副議長は、第1次に止まらず、年内にも総聯の故郷訪問団を数回派遣するなど、引き続き同事業を推進していくことを明らかにした。

 今回の訪問団メンバーには、故郷に105歳のオモニを待たせている72歳の同胞や、90代の同胞が含まれているが、「感慨無量だ。いままで経験したことのない嬉しさで胸がいっぱいだ。我慢してきた甲斐があった」と故郷訪問実現の喜びを語っている。

 総聯の故郷訪問団問題は、7月にソウルで行われた第1回南北閣僚級会談で合意されたもの。会談で北側の全今振団長が提案し、南側が受け入れた。

 これについて全今振団長は会談後、本社記者との平壌でのインタビューで、金正日総書記の指示によるものであることを明らかにした。

 金正日総書記は、ソウルへと出発する北側代表団メンバーとの会見で、総聯の同胞の故郷訪問問題を閣僚級会談の議題として取り上げ、必ず合意に達するよう指示したのである。

 この合意によって在日同胞は、名実ともに祖国統一運動の一員、主人公であることを内外に示し、同時に自らの信条を曲げることなく長年、生き別れになっていた家族、親戚と面会し、故郷を訪れることが可能になった。

 一方、総聯中央の徐萬述第1副議長は8月1日、南北閣僚級会談の合意を熱烈に支持、歓迎する談話を発表し、その中で、総聯同胞の故郷訪問が1日も早く実現されるよう求め、南側関係当局との協議を重ねてきた。

 そして今回、南側当局と第1次「総聯故郷訪問団」の派遣で合意に達し、この日の発表となった。

 7月の閣僚級会談での合意発表後、各地の在日同胞から故郷訪問団参加の申し込みが殺到し、とくに1世同胞が高齢化していることから、早急な実現が叫ばれていたが、「総聯故郷訪問団」の実現によって、在日同胞は55年来の宿願を、ようやく果たしたことになる。(元英哲記者)

南昇祐副議長の談話(全文)

 北と南の両首脳が署名した歴史的な6.155南北共同宣言を履行するための第1回南北閣僚級会談で北と南は、総聯の同胞たちが訪問団を構成して、故郷を訪問できるよう協力し、これと関連した適切な措置を講じることで合意した。

 在日本朝鮮人総聯合会は、北と南との間に交わされた合意にしたがって、祖国光復55周年に当たる意義深い今年の早い時期に、総聯の同胞たちの故郷訪問が実現されるよう望むとの立場を、すでに内外に発表した。

 総聯は、同胞たちの故郷訪問の実現のために、南側駐日公館および大韓赤十字社と直接、協議を重ねてきた。

 その結果、第1次「総聯同胞故郷訪問団」が、次の要領で故郷を訪問することになった。

 第1次「総聯同胞故郷訪問団」は、来る9月22日から27日まで、家族、親戚との面会と、墓参りを主として5泊6日の日程で訪問することになる。「総聯同胞故郷訪問団」は、総聯中央副議長兼朝鮮新報社会長の朴在魯氏を団長とする70代から90代の1世同胞50人と、随行員6人、記者、カメラマン7人の総勢63人で構成される。

 「総聯故郷訪問団」メンバーは、日本の植民地統治下で、強制労働、強制徴用などで渡日し、55年以上の異国暮らしに苦しみながらも、祖国の統一を1日千秋の思いで渇望しながら生きてきた同胞たちである。

 われわれは、金正日総書記の賢明な指導と、格別な配慮、南北共同宣言と閣僚級会談の合意によって、総聯の同胞たちが解放55周年にあたる今年、初めて故郷の地を訪ねられるようになったことを、心から喜んでいる。

 今回の故郷訪問は、半世紀を越える長い間望んできた宿願を果たし、離ればなれになっていた肉親との感激的な対面を遂げる画期的なできごととなる。

 われわれは、今回の総聯同胞たちの故郷訪問が、同じ民族として互いに力を合わせ、統一を促進する愛国、愛族の道へつながるものと確信する。

 総聯は、故郷訪問希望者が多いことを考慮し、年内にも数回にわたって南朝鮮故郷訪問を実現させ、この事業を引き続き推進していくだろう。

 われわれは、南朝鮮当局が南北共同宣言の精神と、閣僚級会談の合意にしたがって、第1次「総聯同胞故郷訪問団」が、無事に故郷を訪問して帰ってこれるよう協調してくれるものと信じるところである。

2000年9月8日

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