日朝国民協会・ワークショップ――
「南北首脳会談後の朝鮮半島」
南の学者も招いて開かれたワークショップ(2日、国際文化会館)
南北首脳会談後の朝鮮半島をめぐる情勢について認識を深めようと、日朝国交促進国民協会(会長=村山富市元首相)が主催する国際ワークショップ「南北首脳会談後の朝鮮半島」が2日、東京・六本木の国際文化会館で開かれた。南北首脳会談時に金大中大統領の特別随行員として平壌を訪問した李鍾※(※=大の両側に百)世宗研究所南北関係研究室長をはじめ、南朝鮮と日本の研究者が参加し、論議を深めた。
南北共同宣言、関係国の協力が必須/東北アの平和にも貢献 「北にとっては日本が脅威」/南の研究者 日本に早期国交を促す
ワークショップではまず、村山会長、日朝友好議員連盟の中山正暉会長があいさつした。 中山会長は、第10回朝・日政府間会談で日本側が主張したいわゆる「ら致疑惑」について、「日本の警察が犯人を特定しないまま、7件10人と特定した」と指摘。朝鮮と1日も早く国交を樹立することが日本の安全と世界の平和に繋がる、協定、条約の締結に向けて国会内での活動を盛り上げていきたいと語った。 続けて「朝鮮半島の安全保障―緊張緩和に向けての変化は起こったか―」、「北朝鮮の政治と経済」、「東北アジアの中の南北朝鮮」をテーマに、南朝鮮から招かれた3人の学者らが報告を行ったあと、日本の学者と研究者が加わり、議論が進められた。 李室長、徐柱錫・「韓国国防研究院北韓軍事研究チーム長」、徐東晩・外交安保研究院教授らは、南北共同宣言は南北の関係改善のみならず、東北アジアの平和にも肯定的な役割を果たす、とその意義を強調しながら、宣言履行のためには南北の努力はもちろん、日本、中国、米国、ロシアなど東北アジアの関係諸国が信頼を積み上げることが必須課題だと述べ、とくに日本の役割について踏み込んだ発言を行った。 李室長は、日本は常に朝鮮の脅威を問題にするが、朝鮮側も日本を脅威に感じていることを念頭に置くべきだと述べ、相手の脅威を問題視するだけではなく、「お互いが脅威をなくすための努力をしなければならない」と促した。 徐柱錫室長は、南朝鮮では朝鮮半島の統一に対して、日本側が否定的な考えを持っていると感じている市民が多いと指摘。日本が南北の関係改善に寄与するには、朝鮮と国交を樹立すべきだと強調した。 また、日本側が朝・日国交交渉でいわゆる「ら致疑惑」や「ミサイル」問題などを持ち出していることを取り上げて、「朝・日国交回復が南北の関係改善、すなわちこの地域の平和構築に寄与するにも関わらず、交渉に前提条件をつけることは、やる気のなさを自ら見せているようなもの」と語った。 今回の交渉でも、朝鮮側が「国交交渉の根本問題」(鄭泰和団長)だと強調した過去の清算問題に関して徐東晩教授は、「植民地支配の歴史的な過去清算は朝鮮半島の南半部だけに対してのみ、それも完全でない方式で行われた」と指摘。朝・日国交を通じて過去の謝罪、補償、在日朝鮮人問題などが解決されなければならないと語った。 また、南北で合意された京義線の連結事業に言及し、軍事、安保的利害関係に偏重していた朝鮮半島をめぐる周辺国の関心を経済的、平和的に転換させられる魅力的な事業だけに、日本が冷戦思考から脱却し、広い視野を持って積極的な役割を果たすことを求めた。(張慧純記者)
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