ざいにち発コリアン社会
私たちのブライダル計画
「コリアンブライダルフェア2000」
一生の一大イベント、ブライダル。結婚が決まれば、式場選びや、当日の衣装、新婚旅行の行き先など決めなければいけないことが山ほどある。それらを一挙にサポートしてみようと開催された、民族結婚のための「コリアンブライダルフェア2000―21世紀に向かって」。未来の伴侶を頭に描いて、一足先にブライダルの準備をしてみた。名付けて「私たちのブライダル計画」。 (柳成根、李明花記者)
チョゴリ 幼い頃からのあこがれ 古典衣装 古典衣装は、李朝以前の封建時代から王妃の礼服として用いられてきた。それが庶民にも着用が許されるようになったのは李朝時代に入ってからである。ベースとなる赤のピダン(絹)には、子孫と家紋が炎のように旺盛であれという意味が込められている。最近は白やオレンジを使ったアレンジ古典衣装も増え、模様も多種多様だ。チマや袖にほどこした波や岩などの模様は長寿、牡丹は富貴、鶴は純粋さと気高さを、鹿は幸せを意味する。つまり子々孫々にいたる一族に繁栄をもたらすようにとの願いが込められているのだ。 東京・上野の「群山商店」は、そんな古典衣装が充実している。ファッションショーのオープニングで登場した古典衣装は、チマの裾に波の模様が二段であしらわれており、袖には牡丹や鶴の絵が描かれている(写真1)。高さ20センチほどの金色のチョットゥリ(冠)には2匹の龍が舞っている。 カラフルな模様とざん新なデザインが特徴的な横浜市・戸塚区の「ポンナル」の古典衣装は、クリスタルオーガンジーを使っているため、描いた模様が一段と鮮明に感じられる。同じ生地、模様をペアで仕立てた衣装(写真2)は、新婦のチマに描かれた花の模様が新郎のパジや、顔隠しにもあしらわれており、新郎新婦の一体感を浮き立たせていた。 幼い頃に親戚の結婚式で見た、古典衣装が憧れだった。民族の伝統を継承していきたい朝鮮女性として、やはり一度は古典衣装を着てみたいものだ。 民族的に純白を強調ウェディング 80年代初めに大阪で生まれ、全国に広がったウェディングチョゴリ。 東京・荒川の「サラン」のウェディングチョゴリ(写真3)は、パールで花の模様を形どり、装飾をシンプルに抑えることで、真っ白なチョゴリに身を包んだ花嫁の清そさをいっそう際立たせている。 民族的情緒を守りながら純白を強調できるウェディングチョゴリも計画の1つに入れたい。 アレンジ可能な ドレス ドレスチョゴリは、チマの裾や袖口にフリルを付けたり、小花やビーズを散りばめたりして、その形をドレス風にアレンジしたもの。デザインの随所に遊びが取り入れられている。 埼玉・川口市の「水晶」のドレスチョゴリは、大ぶりな模様よりも小花やビーズなどをあしらったものが多く、清潔感があふれている。ほかにも、チマをパニエ(ペチコートの一種)で膨らませたチョゴリの上に、パッチワークのように無地の上にセットンの生地をのせたドレス(写真4)などがあった。 東京・池袋の「ヌーヴェルヴァーグ」のドレスチョゴリは肌触りが良く、青やベージュなど落ち着きのあるシックなものが目立った。 茨城の「夢市場」は、カタログによる通信販売を行っている。品数がとても豊富だ。地方の人も安心して購入できる。 ドレスチョゴリを着るなら、お祝いに駆けつけてくれた人があっと驚くようなもので楽しませたい。三千里錦繍江山が描かれた「統一チョゴリ」なんてどうだろう。(花) ヘアメイク、エステ/変身の一手、映える個性
目の錯覚か、とみまがうほどきれいに見える同級生の新婦もいた。そう、彼女をそこまで変身させたのはメイクアップアーティストだ。 この日は「Lesson Make−up Suni」の張c伊さん(顔分析鎌田塾認定指導会員)と、ブライダルコーディネーターの蔡明淑さんが希望者をメイクアップ。両者ともに、花嫁の個性を生かしたメイクを心がけている。衣装とのバランスが大切なだけに、遅くても1ヵ月前までには打ち合わせするのが賢明だ。 張さんは厚化粧で顔面を覆うのではなく、素材の良さを生かしたナチュラルメイクが特徴。ブライダルメイクを始めて9年目の蔡さんは、眉毛をその人の輪郭に合わせて自然な感じに仕上げるよう心がけている。 張さんのメイクの体験者は「これが私?別人になったよう」、蔡さんの方は「好きな色と自分に似合う色とは違うことが分かった」とそれぞれ満足げだった。 オモニの時代の、「能面(?)」のような厚化粧だけは避けたいものだ。かといって派手なチョゴリで顔がぼやけてしまわないよう、ポイントを抑えたナチュラルメイクをお願いしたい。 料金はどちらも式服とお色直し1回分で6万円(お色直しは1着ごとに1万円追加)。 一方、メイクののりをよくするためにもエステに通う花嫁が増えているが、大手のエステサロンは高額なのが難点だ。出展していた、東京・白山のノアナエステルームでは、フェイシャルトリートメントを1000円で30分受けることができる。インサムエキス配合の同化粧品を購入(3800円〜)、キープすればエステ代は無料だ。未来の花嫁姿を夢見ながらさっそく通ってみることにしよう。 (花) ハネムーン/イタリアが人気 (中外旅行者) イタリアの四大都市と言えば、サン・ピエトロ大聖堂など古代遺跡の多い首都ローマ、ルネッサンス文化の中心地フィレンツェ、芸術都市ミラノ、そして「水の都」べニス。いずれも歴史と文化のある観光名所である。 次いで人気急上昇中なのが米ラスベガス。「タイタニック博物館」や「ギネス世界記録博物館」などテーマパークが女性に人気だ。 期間と費用は行き先や時期によって異なるが、「近場で6日間前後、欧州など遠出なら8〜9日間。費用は20〜30万円が、傾向としては多い」(李さん)。ホテルは豪華なクラスを選ぶ人が多いという。 ここで問題なのはビザの取得。朝鮮籍の場合、発給まで3ヵ月近く要する国もあるというので、余裕をもって準備したい。 この際、値は張るが思い切って、イタリア・ミラノからフランス・パリを周遊するパッケージツアーを選ぼうと思う。 なお、欧州には共通ビザを採用するシェンゲン条約(加盟9ヵ国)があり、イタリアも一昨年に加盟。同胞にもビザ取得が認められている。同社では、できる限りこちらを取得するよう勧めている。 (根) 式場 結婚センター通じ2割引き/宿泊無料、料理も納得(京王プラザ)
東京・新宿の高層ビル街にある京王プラザホテルは、同胞の結婚式を手掛けて25年の実績を持つ。昨年の同胞利用者は、全体の4〜5%。宴会部長の臼井博さんは「都内では比較的多いほうでは」と語る。 会場費、記念撮影などを含んだ同胞向けウェディングプラン「コッポラ」(花ふぶき)プランは、200人で通常376万6380円のところを324万円、料理の内容が若干アップし、ブライダルキャンドルサービスがオプションで付く「ペッポッ」(百福)プランは同400万円となっている。ともに特典として、挙式当日の新郎新婦の宿泊費が無料で、参席者の宿泊費は3割引となっている。 同胞の場合、人数が多いため、料理は中華が定番だ。写真の料理は「コッポラ」プラン。前菜、フカヒレスープ、アワビと青野菜のオイスターソース煮、車海老のチリソース煮、蟹爪の揚げ物、牛肉の海老味噌炒め、鯛の白身とトウモロコシの蟹肉あんかけ、メロン入りアーモンドゼリーと、豪華な食材をふんだんに使った料理が揃う。 料理の通常料金は飲み物を含めて2万円弱だが、同胞結婚相談中央センターを通じて「コッポラ」プランで予約した場合、約2割引の1万5000円程度まで安くなる。ディナーショーで味わったある参加者は「味も値段も納得がいくもの。これなら来客に恥じないもてなしができる」。「都内の他のホテルより若干、高いかもしれないが、その分、料理には自信があります」(臼井さん) 内容の充実ぶりと値ごろ感を照らし合わせると、「コッポラ」なら十分なもてなしができそうなので、これを選ぶことにした。 同胞をもてなすのに欠かせないキムチも、同ホテルでは持ち込みOK。東京・江東区にある自家製白菜キムチの店「キムチデポン」では、披露宴当日に最もおいしい状態のキムチを提供できるよう心掛けている。1キロ1200円という費用は、1500〜1800円という相場に比べて安い。 朝鮮餅を専門に扱う「コリアン餅 栄伸商会」(岐阜・多治見市)は、3色餅(草餅、あずき餅、白インゲン豆餅)を扱う。値段は生の餅で2升(1升=約1.8リットル)6000円。だいたい平均的な値段だという。 キムチと餅は同胞の結婚式には欠かせない。ぜひテーブルに出したい。できれば、タッペギ(どぶろく)も出したいな。
(根) 出展業者一覧
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