取材ノート

医療事故に思う


 7月中旬から、毎週金曜日掲載の「健康・趣味」欄を担当するようになった。それからというもの、今までそれほど関心のなかった健康問題に関する記事がやたらと目につくようになった。

 そこで感じたのが、医療事故の多さである。看護婦による患者の取り違え、誤った注射で患者が死亡…など、連日、信じられない事故が相次いでいる。

 中でも驚いたのが、聖マリアンナ医科大学病院の麻酔科医3人が麻酔薬で中毒死していたという話だ。3人とも薬物依存症だったという。いずれも男性の医師で、1人目が1994年5月、2人目が99年4月、そして3人目が今年6月に死亡した。

 この間、6年もあった。にもかかわらず、病院側は、今年6月に3人目の死者が出て、ようやく本格的な調査委員会を設置。最初の2件については、病院のある川崎市にさえ実態報告をしていなかったという。

 この3人がかかわっていた手術は計1053件。病院側は、医療事故は起きていないとしている。だが、最初に亡くなった医師は、手術室内で麻酔中、転倒したこともあったそうだ。

 「麻酔科医は、絶対数の不足から過剰勤務になりやすいうえ、麻酔事故に対する精神的負担も大きく、ストレスから逃れるために立場上入手しやすい麻酔薬などの薬物依存症になる場合がある」(朝日新聞8月27日付)という。

 とはいえ、患者にとっては背筋が凍りつくような話だ。手術の際、麻酔はつきもの。その麻酔科医が薬物依存症だったとしたら…。

 在日同胞も日本に住んでいる以上、日本の病院にかかることになる。日本の病院での医療事故は他人事ではない。1度、この問題にもじっくり取り組みたいと思っている。
(文聖姫記者)

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