春・夏・秋・冬

 出演者らの激しくも気迫に満ちた演技に胸が締めつけられる思いだった。始終、感に堪えず、目頭が熱くなった

▼先日、目取真俊(めどるま・しゅん)原作の演劇「魂込め(まぶいぐみ)」を見た。1ヵ月前にも、主人公役のウタを演じる金泰希さんを取材した時に出演者の練習を見たが、これほどまでに沖縄戦と米軍基地をめぐる沖縄県民の様々な思いを描写したことに驚きを禁じ得なかった

▼ある日、戦争で両親を亡くした幸太郎の魂が、肉体を離れ浜辺に落ちた。魂は何も語らず海を見つめ、抜け落ちた身体はアーマン(オカヤドカリ)が巣くい、日々衰弱していく。親代わりのウタは、肉体に戻るよう懸命に魂に呼びかける。幻想的な物語は一挙に「内なる植民地」としての沖縄の 今 につながってゆく

▼今も癒されない人がいるんだよ。なぜ本土の人はわかってくれないの。いや、わかろうとしないのか…民族受難の歴史と重ね合わせるかのように力強く叫ぶ金泰希さん

▼劇を見ながら、この1世紀、植民地、分断、戦争、対立によって苦しめられ、癒されずにいた同胞たちの姿が脳裏をよぎった

▼朝鮮半島が「冷戦」という氷を砕いて、主体的に力強く始動しはじめたことによって、生死さえ知る術がなかった同胞たちの心もようやく癒されようとしている。離散家族の相互訪問、非転向長期囚の北への送還、そして総聯の同胞の故郷訪問の準備が今、進行しつつある

▼朝鮮半島での平和定着は、東北アジアの地域平和と繁栄、沖縄の基地縮小、撤去につながっていくことだろう。 (舜)

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