そこが知りたいQ&A
第2回閣僚級会談の合意内容は
離散家族訪問団、年内に2回交換 今月中に経済協力、鉄道復元接触 Q 第2回南北閣僚級会談が平壌で行われたが、どんな問題が合意されたのか。 A 全部で7項目ある。要約すると、(1) 今年度中の2回の離散家族訪問団交換と、書信交換問題協議の推進 (2) 軍事当局者会談の速やかな開催を当該部門に建議する(3) 経済協力拡大のための制度的装置整備のための実務接触の9月中開催、借款による北への食糧提供問題の検討 (4) 新義州−ソウル間の鉄道連結と開城−ムン山間の道路開設のための実務接触の9月中の開催 (5) 臨津江水害防止事業の共同推進 (6) 白頭山、漢拏山交換観光団の実施 (7) 第3回閣僚級会談の漢拏山での開催などだ。 これらの合意は、すでに始まった変化の流れをさらに促進させる実践的措置だと言えよう。 Q 会談が予定よりも1日延びたのは、どうしてか。日本の新聞などでは、軍事問題を共同報道文に盛り込むかどうかで意見の食い違いがあったと報じていたが。 A 詳しいことはわからないが、一概にそうとは言えないのではないか。 金正日総書記は1日午前、南側代表団の朴在圭団長と会見したが、その際、朴団長が金大中大統領のあいさつを伝えた、と朝鮮中央通信は報じている。 当時、金正日総書記は現地指導にでかけており、南側代表団が伝えるには、会見場所は、咸鏡北道の海岸沿いの都市だった。朴団長は8月31日に飛行機で会見場に向かおうとしたが、悪天候のために同日夜、鉄道で平壌を出発した。金大中大統領のあいさつを伝えなければならなかった事情があったのではないか。 Q 軍事問題は争点ではなかったということか。 A そうとも言えない。軍事ホットラインの設置など軍事当局者会談は、南側が強く望んでいたことだが、金正日総書記と金大中大統領が署名した南北共同宣言には言及されていない内容だ。 7月に行われた第1回閣僚級会談では、閣僚級会談を共同宣言の精神に沿って運営し、宣言を履行するための対話とすることを双方が確認した。しかも、容易なものから解決することで合意を見ている。こうしたことから考えると、南側に、のっぴきならぬ事情があったのでは、とも推測できる。 Q 南北が和解するためには、緊張緩和は不可欠に思えるが。 A たしかにそうだ。でも実際問題として、その準備が南側にできているのかどうか、疑問が残る。というのは、北側は趙明禄国防委員会第1副委員長が、南北共同宣言の全面的支持を表明したのに対して南側は、北を「主敵」とする概念を変えていない。 また、南朝鮮の軍事統帥権は、いまだに米軍が握っているという事実。さらに、92年の南北軍事共同委員会が、米国の介入によって決裂したという経緯などがある。当時、米国は核開発疑惑を口実に、朝鮮の軍事施設に対する査察を要求し、朝鮮半島の緊張が非常に高まっていた。そのとき、南側は軍事共同委で北の軍事施設が疑わしいから査察させろと言って結局、軍事共同委はもとより、南北対話そのものが決裂に至った。 Q 軍事当局者会談の展望は。 A 南北共同宣言の精神に基づいて行われるのなら、成果が得られるだろう。北と南が、統一問題を自主的に解決するという精神だ。 Q 今回の会談で進展を見たものは。 A 離散家族訪問団の交換を今年中にさらに2回行い、書信交換推進問題を協議するということ。それから、経済専門家による実務接触と鉄道連結協議の9月中の開始だ。 離散家族訪問団交換の追加実現は、訪問団交換の定例化につながり、書信交換協議が進展すれば、離ればなれになった家族を捜すうえで大きな助けとなるだろう。 経済実務接触では、投資に対する保障や2重課税防止、紛争の仲裁問題などが話し合われると言われている。 金正日総書記は、この問題と関連して朴在圭団長との会見で、近々、経済使節団をソウルに派遣することを明らかにしたという。 これまでの南北経済協力事業は、計画だけが先行して内容が伴っていなかったものが多い。開城の工業団地造成計画にしても、その資金を工面する目途が立っていないのが実状だ。 北の経済使節団のソウル訪問は、南北がどのような経済協力を行えるのかを推し量るうえで大きな役割を果たし、南北経済協力本格化への第一歩となるだろう。 Q 京義線鉄道の連結問題はどうか。9月12日の秋夕に着工式を行うという報道もあるが。 A 秋夕の着工は時間的に無理と思われる。一説には線路を敷設する地域だけでも100万発の地雷があると言われているし、資金を調達したという報道もない。それに、なによりも技術的な問題が、なにも協議されていない。ただ、レールをつなげば良いと言うものではないから、それだけでも時間が必要だ。ただ、象徴的に着工式を行うことは可能だ。いずれにしても、今月中に実務接触が開かれるから、そこで着工式などの日程も明確になるだろう。 Q 総聯の故郷訪問団の問題は、今回の会談で協議されたのか。 A 朴在圭団長は本社記者の質問に、「進展しているのではないか、今後、持続的に順調に行われるだろう」と述べている。額面通り受け止めて良いのではないか。 共同報道文 第2回北南閣僚級会談が、チュチェ89(2000)年8月29日から9月1日まで、平壌で開かれた。 会談で双方は、6.15北南共同宣言の重大な意義を再び強調し、それが素晴らしい結実をもたらしていることについて評価した。 会談で双方は、北南共同宣言を誠実に履行するために、ともに努力することを再確認し、次のような実践事項について合意した。 1、北と南は、今年中に離ればなれになった家族・親戚訪問団交換事業をさらに2回、行う。 これと関連した実務問題は、北南赤十字団体がただちに討議して、これと同時に離ればなれになった家族・親戚の書信交換を推進するなどの問題を協議する。 2、北と南は、緊張を緩和し、平和を保障するために努力する。 これと関連して当該部門に、双方軍事当局者の会談を速やかに日時内に持つよう建議する。 3、北と南は、経済協力を拡大発展させるために、投資保障、二重課税防止などの制度的保証を整える。 これと関連した双方専門家の実務接触を9月中に持つ。 そして南側は、北側があいつぐ自然災害を被っている実情から、相互扶助の原則に基づいて北側に食糧を借款として提供する問題を検討して推進する。 4、北と南は、新義州−ソウル間の鉄道を連結し、開城−ムン山間の道路を開設するための実務接触を9月中に持ち、着工式問題などを協議する。 5、北と南は、早急な日時内に臨津江水害防止事業を共同で推進する。 6、北と南は、白頭山、漢拏山観光団をそれぞれ100人程度の規模とし、9月中旬から10月初の間に、相手側地域に送る。 7、北と南は、第3回北南閣僚級会談をチュチェ89(2000)年9月27日から30日まで、漢拏山で開催する。 閣僚級会談代表団の規模は、それぞれが便利なようにする。 |