取材ノート

娘の熱い夏


 この夏、娘は高級部生活最後の陸上サークル活動に全力投球し、熱い日々を過ごした。

 ハッキョでの練習はもとより、帰宅後の筋力トレーニング、果ては夜半のジョギング…とじっとしていてもうだるような暑さのなか、記録更新につなげようと多くのメニューをこなした。

 私はせがまれて腹筋の練習を手伝ったことがある。遅い時間帯のジョギングに時計をにらみながらハラハラして待った。9月のハッキョ中央体育大会を前に「後輩に先を越されてばかり、今年こそはレギュラーに!」という想いが伝わってくる。

 8月の初旬だったろうか、摂氏35度の日に高尾山に競歩で友人と登ると言い出しびっくりした。何でも体力を試すとか、とにかく水分補給だけは怠らないようにと言って送り出した。

 山を登りながら多くの人を追い越し頂上に着いた時は汗びっしょり、全身がくたくたで帰り路が大変だったと夕餉(ゆうげ)に話してくれた。驚いたり感心したり、なんだか目の前の娘が急に大きく見えた。

 保育園の入園当初、泣いてばかりで心が痛んだ。ハスキーな声で「オンマー!」と泣きじゃくる。人見知りもひどく両親以外は受け付けなかった。幼いころを振り返るとたくましく育ったとつくづく感じる。

 その後サークルで「魔の合宿」とやらがあって、ソンセン二ムや先輩らの指導のおかげで娘はどうやらレギュラー入りを果たしたようす。

 先輩、友人、後輩とのふれあい、日本の高校生との競技を通し今夏、娘は一段とたくましく成長した気がする。(ジャーナリスト)

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