子供たちと野や山に行こう

環境問題に関心持つべき


 大人になるまで1度は読む本に「ファーブル昆虫記」がある。「聖たまこがね」の観察記録から始まるこの名作は様々の生き物の共生の姿を美しく、かつ綿密に描き出している。

 あらゆる生き物の連鎖のなかで昆虫の不思議な本能の研究にとりつかれたファーブルは、人間も、アメーバのような単細胞動物も自然の連鎖の一鎖としてとらえている。
 自分だけがえらい神様だと思っている人間たちのごう慢さを戒める視点に共感を覚えずにはいられない。

 都会で暮らす日々は、ついこうした人間と動物の摂理を忘れがちだ。無味乾燥なビル砂漠では、虫たちが歌をうたう場所もない。小鳥の声に耳をすまし、季節の花の匂いに心を動かされることも少なくなった。

 美しいものを美しいと感ずる心を育て、命の大切さに気づかせ、個性豊かな子供を育てることは、民族教育の場でも大切なことであろう。

 祖国と遠く離れ、異国で暮らす身では、周辺の山河への関心が祖国の山河への愛着とは結びつかない。しかし、新しい世紀を前に地球環境の保全がいつにも増して叫ばれている。現在住んでいる所の自然や環境の美化に関心を持ち続けることにも多大な関心を寄せるべきであろう。

 だからこそ、子供たちを野や山に連れ出し、感性を磨き、豊かな想像力を身につけさせなければならないのではなかろうか。

 さいわい、祖国からウリハッキョには、貴重な動物や植物の標本やはく製、無尽蔵の鉱物資源の見本も数多く送られてきている。それらの標本を前に、太古からの地球の豊かな自然を思い描き、未来に生きる自分の姿を想像してもいい。

 試験の成績、順位だけが、評価の基準ではない。1人1人の子供の持つ個性と、その個性の社会的出番の発見とを促す雰囲気を、ウリハッキョで大いに育てて欲しい。
(金公礼、主婦)

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