朝・日政府間第10回本会談に出席した
鄭泰和・朝鮮政府代表団団長に聞く

今会談は 一歩前進 

次回、実質討議の基礎整う


過去清算してこそ関係改善、在日同胞の権利保障強調

 朝・日政府間第10回本会談に出席した朝鮮政府代表団の鄭泰和団長(朝鮮外務省巡回大使)に、帰国直前の8月25日、インタビューした。

 ―今回の第10回本会談で朝鮮政府側がとくに重点を置いた問題は。

 日本が過去、朝鮮人民に負わせた災難について徹底的に謝罪し、相応の補償をしなくては関係を改善できないということだ。

 「日韓妥結方式」や「財産請求権」などは絶対に通用しない。これは、過去の植民地統治を合法化するもので、朝鮮民族に対する冒とくとなる。

 過去清算の中には、人的、物的、精神的損失に対する補償、文化財返還の問題がある。そして日本が在日同胞に長い間、負わせてきた労苦を解消し、同胞たちに日本が当然の償いをしなくてはいけないということを強調した。

 在日同胞の権利保障と関連しては、日本政府が道徳的、法律的に自らが果たすべき義務を果たしていないことを指摘したうえで、その歴史的経緯から見て、在日同胞には他の外国人より特殊な、特例的な待遇を必ず行うべきだという要求を今回新たに提起した。

 ―その問題に対する朝鮮政府としての立場と方針をもう少し詳しく。

 在日同胞は、日本帝国主義の朝鮮植民地統治の最大の犠牲者と言える。われわれが日本に求めるのは、そんな在日同胞が負った物質的、精神的、人的被害に対して、日本が相応の謝罪と物質的補償を行うことだ。

 もう1つは権利問題だ。在日同胞の教育権、生活権、社会的活動権、企業運営権など、すべての権利をただ日本人同様に与えればいいというものではない。過去の歴史を見ても、朝鮮人は特別の待遇を受けなくてはならない。これは、朝鮮労働党と政府の在日同胞問題対する立場だ。こうした諸問題について強く要求した。

 ちなみに今回、多くの在日同胞に会って大きな力を得た。海外でたくましく暮らす同胞たちをとても誇らしく思っている。

 ―今後の会談の展望について。

 現情勢の流れや、日本側の動向を見ると、今後の本会談ではこれまでのような原則だけの論議から、実質的な討議に入れるだろう。そのための基礎がほぼ整ったと言える。すべてをすぐに合意するのは難しいかもしれないが、次回からは実質的な問題について1つ1つ討議していくことになるだろう。

 そういう意味で、今回の会談は1歩前進だった。今、これといった成果はないが、今後、成果をもたらすための基礎が整いつつある。   (崔憲治記者)

朝鮮の各紙、第10回 朝・日会談評論

 8月26日付の労働新聞と民主朝鮮は、東京で開かれた第10回朝・日政府間本会談に関する論評をそれぞれ掲載した。論評は第10回会談について、「これまでの会談とは異なり、前進的な方向で行われた実践的な会談」(民主朝鮮)と位置づけながらも、「ら致問題」などを持ち出し、会談を破たんさせようとした、日本の右翼やマスコミを強く非難(労働新聞)している。

労働新聞/破たん企てた右翼、マスコミ

 朝・日政府間会談では、わが国に対する日本の過去の犯行を決済し、朝・日関係を正常化する目標のもと、真しな討議が行われ、会談を前進的な方向で運営しようとの双方の立場が表明された。

 ところが、他方でこうした会談の雰囲気とはふさわしくない、好ましからぬ出来事が生じた。

 まず、問題視せざるを得ないのは、日本のマスコミが会談に対して勝手で誤った主張と憶測をし、会談開催中もわれわれの気にさわる報道をしたことである。

 彼らは、われわれが日本の安全を「脅かしている」かのように騒ぎたて、こうした状況のもとでは「正常な国家関係を持つことが出来ない」だの、「国民感情」をないがしろにしてまで国交正常化をしてはならないだのと主張した。彼らは、われわれが「日本から大型の経済支援」を願って国交正常化交渉を急いでいるとも公言した。

 朝・日人民は会談が進展し、国交正常化が実現することを願っている。だとすれば、日本のマスコミは実りある会談になるよう、鼓舞すべきで、会談の妨げとなることは行うべきでない。

 日本の右翼が今回の会談中に会談場の外で公然と敵対的な妄言を働いたことに対しても黙過することができない。彼らは、われわれを「暴徒」と冒とくし、代表団の面前で騒ぎを起こした。これは、初歩的な常識も道徳もわきまえない無礼な行為である。

 彼らの行為は一貫して集団的、組織的な性格を帯び、計画的であった。ここに大きな問題がある。

 朝鮮人民は日帝が過去に犯した罪悪で深い傷を負っている。しかし、平壌で開かれた第1回会談の時もそうだったし、第9回会談でも日本政府代表団の感情を傷つけるようなことはなかった。

 しかし、日本では道義に反してわれわれを驚がくさせる事態が公然と生じた。

 われわれは、関係改善を実現する立場から出発して右翼の反朝鮮敵視騒ぎを断固粉砕し、会談の成果のため、誠意ある努力を傾けた。その結果、会談は前進的な方向で行われた。

 日本の反動勢力とそれにへつらうマスコミは、変化する現実と内外の民心を直視し、会談の雰囲気を壊してはならない。(朝鮮通信)

民主朝鮮/前進的で実践的な会談

 第10回朝・日政府間本会談に朝・日両国人民はもちろん、世界の人民も大きな期待を表した。

 現に、会談を取り巻く内外の環境は肯定的であった。歴史的な南北最高位級会談が成功裏に行われ、朝鮮統一に対する内外の関心がいつにも増して高まった。7月には史上初の朝・日外相会談が行われ、その成果に基づいて、朝・日政府間会談を行える有利な環境が整った。

 われわれは今会談で、朝・日間に百余年の間続いているいまわしい過去を1日も早く清算し、新たな善隣友好関係を結ぶうえで前進をもたらす公正かつ原則的な問題を示した。朝・日間の関係を改善するうえでの基本原則は、朝鮮人民に対する日本の過去の清算だ。

 日本側は、会談で打ち出したわれわれの提案に理解を表明し、双方は善隣友好関係の早期樹立のための共同報道文を発表した。

 第10回会談を一言で評価すれば、これまでの会談とは異なり、関係改善のための前進的な方向で行われた実践的な会談であった。

 しかし、会談が行われている期間、日本のマスコミはありもしない「ら致問題」と「ミサイル問題」を取り上げ、荒唐なき弁を並び立てたし、右翼勢力はいわゆる「ら致被害者」の家族、親戚を集めて騒動を起こし、あたかもそれが日本人の意思を反映したものであるかのように見せかけようと策動した。これは、様々な障害を乗り越えてようやく再開されている会談を破たんさせようする、不穏な行為である。日本はこうした行為をなくすため、徹底した対策を講じなければならない。 (朝鮮通信)

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