最後のサマースクールに参加して
「ウザイ朝鮮人」からかっこいい朝鮮人に
隅田川高校の金順華さん
日本の中学・高校に通う在日同胞生徒を対象にしたサマースクールが、この夏も全国各地で行われた。「東京コリアンハッセンキャンプ2000」に参加した金順華さんの感想を紹介する。
◇ ◇ 私がサマースクールに参加したのは今年で4回目、そして最後です。やはり参加してよかったと思っています。 それは、サマースクールが私の人生そのものを変えてくれたからです。私にとってサマースクールはそれほど価値があるのです。その価値とは、同じ朝鮮人のトンムをたくさん得たことです。 私は、学校では姓は日本名、名は朝鮮名を使っています。もちろん、周りの友達にも朝鮮人であることを公言していました。でもケンカになると、友達は決まって「朝鮮人ウザイ、うっとうしい」などと暴言をはき、とても悔しい思いをしました。 そんな風に悩んでいた中1の時、サマースクールに初めて参加したのです。 差別に負けないためにも朝鮮人として堂々と生きていこう、と真剣に語り合っている先輩たちの姿に大きな衝撃をうけました。そしてその過程で、「朝鮮人ウザイ」というののしりにただ悔しさだけを感じたのは、朝鮮人として堂々と生きていく問題意識を持っていなかったからだと考えるようになりました。 それからは、私もサマースクールに参加する度に、差別に対する悩みや怒りを率直に打ち明けるようになりました。胸の内をさらけ出せ、互いに分かりあえる友達がいることは本当に心強いと感じました。自国の言葉や歴史をともに学べたのも楽しかった。 私は仲間を得たことで、朝鮮人として明るく、前向きに、堂々と生きる自分自身を「かっこいい!」と思えるようになりました。 日本の学校では決して得られない、朝鮮人同士にしか通じないものをサマースクールで得たのです。 私にとってサマースクールの仲間は、まさに宝、そしてかけがえのない存在です。 私は今年、医療関係の仕事をしたいというかねてからの夢を実現させるため、日本の大学を受験します。 受験生にとって最後の夏休みは「勝負のとき」でもあります。しかし、私はサマースクールのため費やした時間を決して無駄とは思っていません。 私にとってサマースクールは、同じ民族の血が流れる本物の仲間を与えてくれた「人生を変えてくれたかけがえのない価値ある場所」であるからです。(都立隅田川高校三年) |