今日から第10回朝・日会談

日本の謝罪、補償が焦点


 今日21日から25日まで、東京で朝・日国交正常化のための第十回政府間本会談が開かれる。

 4月に平壌で行われた第9回本会談で朝鮮側は、朝・日関係の基本が過去の清算問題であることを改めて強調し、日本側に謝罪と補償を強く求めた。これに対して日本側は、過去の清算の重要性について認めたものの、行方不明者問題を前提条件としてちらつかせるなど、双方の主張には依然として隔たりがあった。

 第9回会談で、次回の会談を5月下旬に開くことで合意したにもかかわらず、会談が延期されたのは、日本側が従来の態度を変えようとしなかったことに、その理由の1つがある。

 しかし、第9回会談以降、朝鮮半島を巡る情勢は180度変化した。6月に歴史的な南北首脳会談が開かれ、7月にはバンコクで初の朝・日、朝米外相会談が開かれた。

 南朝鮮、米国は朝・日関係改善を促し、双方を取り巻く国際的環境は整ったと言えよう。

 とくに朝・日外相会談では、@朝・日間の新しい善隣友好関係樹立のために全力を傾けるA朝・日間の諸問題解決を誠意を持って推進することなどで、双方が合意したが、その意義は大きい。そのほか、日本の食糧支援、朝鮮在住日本人女性の第3次故郷訪問の実現(九月)など、双方の懸案問題でも大きな進展がみられた。

 こうした環境のなかで日本に求められているのは、朝鮮側の謝罪、補償要求に、いかに誠実に応じるかである。

 すでに9回までの会談で、議論は尽くされたと言っても過言ではない。したがって残されたのは、日本がいかに決断するかである。   (元英哲記者)

日朝議連
着々と溝埋める作業
過去の清算、人的交流…

28年ぶりの公明党訪朝団
 日朝友好議員連盟(会長=中山正暉衆院議員)は、2月の発足以来、日朝国交正常化のための環境、下地作りに取り組んできた。

 昨年12月、国交交渉の環境作りを目的に訪朝した日本政党代表団(団長=村山富市元首相)メンバーの久保哲司衆院議員と福本潤一参院議員(いずれも公明党)らは、党内の有志らで訪朝団(団長=東順治衆院議員)を結成。10日から12日まで平壌を訪問した。公明党単独の訪問団は28年ぶりだ。

 自らが願いでて朝鮮を訪れたのは、1日も早く国交を樹立したいとのメッセージを伝えることと、朝鮮の実情を正確に理解することにあった。

 平壌では、宋浩敬朝・日友好親善協会会長(アジア太平洋平和委員会副委員長)から、3時間以上にわたって朝鮮の経済、農業、対外政策などの現状について話を聞いた。焦点の日朝関係について宋会長は、「過去をきれいに清算し、新しい善隣友好を構築していくというのが、朝鮮側の一貫した考えだ」と述べた。

 また、現地で「近い将来、党として正式な代表団を派遣したい」との神崎武法代表のメッセージを伝えたところ、朝鮮側からも積極的な返事が返ってきた。

 「具体的な話を進めるなかで信頼関係が構築されることを実感した」(福本議員)というのが、公明党訪問団の一致した意見だ。

 朝・日間に横たわる溝は決して浅いものではない。日本の植民地支配に対する双方の認識の違いがそのまま政府間交渉でも現れ、これまでの会談でもその溝は埋まらなかった。

 しかし、一方で日本の戦争責任を直視し、過去を清算したうえで朝鮮と国交を結ぶべきだと主張する議連メンバーも多い。

 佐々木秀典、金田誠一両衆院議員(民主党)、田英夫参院議員(社民党)らは、「日朝国交正常化の核心は過去の植民地支配に対する謝罪と補償」との認識に立ち、今年の初頭から一般市民に署名を呼びかけている。12月まで続けられる署名は、日本政府が、そのかたくなな立場のより所としている「世論」を変えるのが目的。朝・日国交正常化問題の本質が、日本の戦争犯罪の清算にあるだけに、こうした世論の高まりは、国交樹立への追い風となろう。

統一のバックアップを
 先の選挙で当選した自民党の馳浩氏(前参院議員)が衆院選にチャレンジした目的は2つあった。1つは自身が描く教育ビジョンの実現。もう1つは日朝国交の樹立だ。

 馳氏は、九五年に朝鮮で開かれた平壌国際スポーツ・文化祭典にプロレスラーとして参加。日朝友好を進めてきた経験から、国会議員に転身した後も、朝鮮との関係改善や在日同胞の民族教育に関心を払ってきた。

 「党内には、いわゆるら致問題、ミサイル問題などの解決を強硬に求める議員がいるのも事実だ。しかし、どうすれば突破口を開けるかを考えるのが政治家の仕事」と話す馳氏は、国交樹立前に平壌に連絡事務所を設置し、人的交流を活性化させるなど、積極的な提案をしてきた。

 とくに馳氏は、南北共同宣言の発表で朝鮮半島を取り巻く環境が大きく変わるなか、日本が積極的に朝鮮の統一をバックアップすべきだと主張する。

 民主党の前原誠司衆院議員もそう考える1人だ。

 「今まで南北の対立を前提に考えてきた日米韓の連携、日本の外交姿勢は崩れていく。日本は日朝交渉を取り巻く環境が大きく変わったことを強く認識すべきだ」(張慧純記者)

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