統一へ 私の夢
人生彩る音楽との出会い
李英姫
「私の夢」と題した小2、3年の頃の作文で私は文面はさだかではないが、こんな風に書いたのを覚えている。「私の夢は音楽家になることです。いつも音楽の絶えない家庭を作ることです」と。
幼い頃から歌が大好き、踊りも大好き、暇さえあれば、学校に居残ってカヤグムやオルガンを弾いていた。あの頃、在日同胞はみな貧しくて、ピアノはおろかオルガンさえ買ってもらえなかった。でも私のあまりのしつこさに根負けしたのか、ある日、家に帰ると真新しいオルガンが、部屋狭しと置かれているではないか。厳格な父が見せた娘への思いやりに私は幼いながらも感謝の気持ちを抱いたものだった。 そうは言っても「オルガン」に集中したのはその後、1、2年位なもので中学、高校と私は音楽とは無縁のサークル活動に明け暮れた。漫画家になろうかな、なんて考えたりもした。でも、そうこうしている間にも、中学、高校と合唱や重唱のメンバーに入って舞台に立っていた。 卒業から9年間歌舞団に入って、活動した。今、思い出しても私の人生のなかで、これほど光輝いていた時は、後にも先にもそしてこれからもきっとないはずだ。 結局、音楽家の夢は叶わなかったが、この間、チョソンサラムとしての生き方と道しるべを教えてもらったように思う。 学生時代にはそんなことをつゆ程にも思っていなかった。友達との会話でも、ファッションや恋愛、部活のことなどが話題の中心で、民族や祖国統一は、自分にとってかけ離れたものだった。 待ちに待った南北首脳会談。いい知れぬ感動を味わいながら、祖国統一という歴史的な時代を迎えつつある今、私はやはり声を大にしてこう語りたい。 「私の夢は音楽を一生の友として親しみ、楽しむこと。それは在日朝鮮人2世としての私のルーツであり、生きていく道しるべなのだ。そして、子供たちには輝かしい未来のために、それぞれの『夢』をあきらめず、育んで生きていってほしいと」(静岡・西部支部在住) |