マダン2000
留学同サマ−セミナ−
自分を探した夏
今年も日本の大学、専門学校に通う在日同胞学生を対象にしたサマーセミナー「留学同マダン2000」(群馬・尾瀬)が2〜4日まで開かれた。今回の参加者は250余人。朝鮮人として生きるうえでの様々な疑問や悩みなどを話し合うのは毎年のことだが、特に今年は南北首脳会談、共同宣言の発表という超ビッグなニュースに押されて、それぞれが語る民族への想いにも、いっそう熱が入っているようだった。サムルノリや朝鮮舞踊などを通じて民族に触れる過程で彼らが感じたことは。(李明花記者) 語り明かす祖国への想い/南北、在日の大学作りなどふくらむ夢
統一テーマに討論会 今回のサマーセミナーの特徴は、南北首脳会談後初のマダンということで、「祖国」や「統一」についての講義や討論が主に繰り広げられたこと。 2日目夜の討論会では、6月の南北首脳会談について様々な感想が述べられた。大阪スクールオブミュージック専門学校でラジオDJコースに通う林伽耶さん(19)は「自然に涙が出た。初めて自分の目で、統一が近づいたことを実感した。学校の先生たちも関心を持ってくれてうれしかった」と語った。 南北首脳の出会いという歴史的な出来事に対する感想は、押し並べて感動的だったというのが多かったが、なかには「うれしかった反面、ちょっと複雑な気持ち。南北の和解にどうして50年間もかかったのか」と疑問をぶつける学生もいた。 朴賢憲くん(22、佛教大学4年)は、「歴史を知らない僕らのような在日の3世は、感動して泣いているハルモニを見ても『なんで?』としか思えない。涙もろいとかそういうことじゃなくて、知らない分自分のことのように思えないのでは。そういうところに在日同胞学生の立ち遅れを感じる」と語った。留学同京都支部に所属する朴くんは、共同宣言が発表されてすぐに、盛り上がる祖国の情勢に足並みをそろえようと、今まで交流のなかった在日韓国学生同盟(韓学同)、在日韓国青年同盟(韓青)の学生らとともにチャンゴや朝鮮の太鼓を叩きながら立命館大学の構内を練り歩いた。1世に比べるとどうしても3世、4世は統一に対する思いが希薄になりがちだ。朴くんにしてみれば、それを克服する方法の1つがメンバーとの共同行動だった。朴くんの経験談に参加者が大きくうなずいていた。 統一後の未来についての夢も語られた。 中学の頃から、将来は祖国統一のために力を尽くしたいと考えてきた崔翔美さん(19、京都外国語大学2年)は、「(会談は)めっちゃうれしかったけど、ちょっと残念。自分が動く前に、祖国が先に動いてしまった。今までは目標だった『統一』が今度は、1つのプロセスになった。そのなかで自分に何ができるか、考えていきたい」。しっかりとした目標を持っているからこそ、言える言葉だ。 朴美玲さん(21、中央大学2)はずっと日本の学校で育ってきた。 「朝鮮半島を祖国だとは思うけど、ウリハッキョに通った子とはやっぱり何か感覚的に違うものを感じる。私は祖国のため、というより、在日同胞のために弁護士になって働きたい」と率直な意見を述べた。 「南北、在日で大学を作り、資料を共有したり意見を交換し合ったりしたい」、「南北、在日の若者で『出会いのパーティー』ができたら」などとユニークな意見もあった。 自分たちが主人公となっていく未来に目を輝かせるのは若者の特権だと言える。特に南北共同宣言の発表によって、在日同胞の若者には、さらに大きく未来が開かれるようになった。 討論会が終わっても、参加者は未来への熱い想いを語り合っていた。 |