ソクタム―ことわざ辞典

背負った子に学ぶ


 「背負った子に学ぶ(オブン エギエゲ ペウンダ)」。自分よりも年少で、水準が低い人から学ぶべきことがあるとの意味だ。

 わがままな娘がいた。何をいいつけても、ハイと、返事をしたことがない。少しでも気にいらないことがあると、アボジやオモニにだだをこねてこまらせた。そのくせ、自分のやりたいこと、なんでも、とおさずにはおかない性格。本当に、こまった娘であった。

 アボジやオモニがどんなに言い聞かせても、まるでききめがない。毎日、何かしら、文句をこしらえてはぶつくさと、すねる。

 「この子は、いまにどうなるのだろうか」。親たちはそればかり心配していた。 ところがある日のこと、娘が1人でぼんやり部屋に座っていると、そこへ、1匹の子ネズミがチョロチョロと出てきた。

 「まあ、いやらしい」。娘はびっくりしたが、あんまり小さなネズミなので、こわいとは思わなかった。

 部屋のすみに米つぶが、すこしばかりこぼれていた。

 子ネズミは部屋中をあちこちさがしあるいた。米つぶの落ちているのがわかると、急いでひきかえして、もとの穴へ入っていった。

 しばらくすると、さっきの子ネズミが、また、チョロチョロと出てきた。

 今度は、1匹ではなかった。後ろには、おかあさんネズミがついていた。子ネズミは、おかあさんネズミを案内するようにして、お米のこぼれているところへ連れていった。おかあさんネズミはうろうろしながら、口さきでお米のつぶをさがしはじめた。

 そして、チュウチュウと鳴きながら、その米つぶを食べるのである。おかあさんネズミは、目が見えなかったのだ。だから、自分では食物をさがすことができない。それで子ネズミが、おかあさんネズミを米つぶのある所へ連れていってあげたのだ。

 わがまま娘は、終始、じっとそれを見ていた。娘は、すっかり恥ずかしくなり、「ネズミさえも、あんなに親を大切にするのに、私はなんというわがまま者だろう」と思い、今までのおこないがまちがっていたことをさとった。

 それからは、まるで人が変わったように、親を大切にするようになり、みんなからもよい娘だと、ほめられるようになったという。

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