プーチン大統領の訪朝

「良きパートナー」確認
双方の立場と見解を支持

駐日ロシア大使館 イワノフ参事官


朝鮮のミサイル計画
平和的性格♀e国首脳に伝達/NMDの正当化、容認しない

 7月19、20日、ロシアのプーチン大統領が、旧ソ連時代も含めてロシアの最高指導者としては初めて訪朝し、金正日総書記と会見、11項目の共同宣言を発表した。共同宣言の意義や今後の朝・ロ関係について、駐日ロシア連邦大使館のアレクサンドル・イワノフ参事官に話を聞いた。 (崔寛益記者)

 ―共同宣言が発表された意義は。

 両国の関係において実に画期的なこと。プーチン大統領の訪朝の目的は、金正日総書記と直接会って個人的な信頼関係を結び、朝鮮問題をより深く理解することにあった。両指導者は、意気投合し、互いに良きパートナーになりうるということを確認した。

 ロ・朝共同宣言は、国際秩序、平和と安全など、国際関係のあり方から、朝鮮半島問題解決のための原則、2国間の幅広い交流・協力のための詳細な規定にいたるあらゆる問題に包括的かつ具体的に言及している。

 ミサイル問題についても、グローバルな見地から検証され、両国の立場と見解をしっかり確認、互いに支持を表明した。こうした重要な事柄について、両首脳が基本的な認識で一致した意義は、国際社会にとっても極めて大きい。

 ロ・朝関係は、プーチン大統領の訪朝で新しい次元に入った。今後も、指導者間のこのような信頼関係を強固にしていくことが不可欠だ。金正日総書記の訪ロが両国の関係をさらに密にするだろう。

 ―プーチン大統領に同行して「沖縄サミット」に参加したと聞いている。ミサイル論議など朝鮮問題に関する各国首脳の反応は?

 プーチン大統領は、金正日総書記が西側の指導者とも十分に話し合える指導者であり、朝鮮のミサイル計画は平和的性格を帯びるものであるというメッセージを各国首脳にしっかりと伝えた。大統領側近の話によると、参加者たちは大統領の説明に真剣に耳を傾け、対朝鮮政策の見直しと、朝鮮との交流の拡大、朝鮮指導部との個人的な接触の構築に深い関心を示したという。アセアン地域フォーラム(ARF)外相会議においても、反応は同じだった。そのことは、カナダが朝鮮と国交を結ぶ用意があると言明した事実を見てもわかる。プーチン大統領が伝えたメッセージの波及効果も手伝っていると思う。

 ―ミサイル問題に関するロシアの立場について補足して欲しい。

 朝鮮側が言っているのは、宇宙開発のために他国が協力するのであれば、独自の開発計画を保留してもかまわないということだ。

 ミサイル問題に関する、ロシア政府の原則的立場は、いかなる国であれ他国に脅威を与えてはならず、開発計画は国際的原則に則して行われるべきだということだ。その点においては、朝米間の交渉は有益だ。

 ミサイル開発に伴う懸念を包括的に解消するには、朝鮮に対して安全を確約しなければならない。関係国が自国のことだけを考えるのではなく、朝鮮側が抱いている安全保障への懸念も理解すべきだ。そうしてこそ、政治的に好ましい結果が生まれる。全ての関係国にとって今がチャンスだと言える。

 ―米国は、NMD(米本土ミサイル防衛)や戦域ミサイル防衛(TMD)開発の口実を失ったのではないか。

 ミサイルに関しては、グローバルな戦略的安保の側面と北朝鮮のミサイル開発を問題にする動きがある。問題は、米国が後者だけを問題にしている点だ。

 各国が朝鮮半島の好ましい情勢に鑑み、また偏見に捕らわれることなく、交渉を通じた解決にあたるべきだ。われわれは、米国が朝鮮のミサイル問題を口実にNMDを正当化するのを決して容認しない。

 ―朝・日、朝米関係はどうあるべきか。

 2つの国との関係はアブノーマルだ。朝鮮問題には内部の問題と外部の問題という2つの要素がある。内部問題は、南北朝鮮が自ら解決すべきであり、外部問題は、関係国が協調して解決すべきだ。しかし、その場合も朝・日、朝米の関係正常化が前提となる。そのことが、北東アジアにおける冷戦の終結につながる。

 ―シベリア鉄道と朝鮮の鉄道をつなぐ話が出ているが。

 これが実現すれば、経済的な相互作用が活発になるし、地域間の発展と協力、さらに信頼と平和の構築にも大いに役立つ。ロシアの景気は若干上向きになってきたが、これを本物にするためには、西側だけでなくとりわけ北東アジアとの経済協力が欠かせない。無尽蔵の天然ガスだけを見ても、パイプラインをモンゴル、中国、南北朝鮮までつなげば、そのメリットは計り知れない。朝鮮から日本にも伝わる。

 こうした「エネルギーのネットワーク」こそ、地域の経済発展の要の1つとなりうる。それが「エネルギー安保」と呼ばれるのは、地域の政治的・軍事的安保にも肯定的な影響を及ぼすからだ。

 ―先の南北最高位級会談は、国際関係にも巨大なインパクトを与えた。

 何よりも、南北の建設的な対話と終局的な統一に向けて画期的な前進をもたらした。南北双方の努力をロシアは積極的に支援するだろう。

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