春・夏・秋・冬

 数年前から、同胞に統一に対する具体的なイメージを聞いてきた。ほとんどが、南北が自由に行き来し、離ればなれになった家族と再会することだ、と答えていた。筆者も、同じイメージを抱いていた

▼南北当局者会談で、在日同胞の故郷訪問問題が協議されるだろうとは、予測していた。90年代初めの南北高位級会談で、この問題が非公式に話し合われたと聞いていたし、在日同胞もやはり、離散家族だからだ。でも、こんなに早く実現するとは

▼東京に住む金鎔寔氏のアボジは、亡くなる直前まで息子の名前を叫んで目を閉じなかった。一緒に住んでいれば、幸せは一緒にいる家族の分だけ増えるし、苦しみもその分だけ減る。金氏のアボジは、日帝植民地時代の苦労に加えて、離ればなれになって倍加した悲しみのために、目が閉じられなかったのだろうか

▼神戸に住むW氏には、アボジが残してくれた広大な土地がある。「済州道で唯一、コメができる」自慢の土地で、いまは高級リゾート地になっている。アボジが亡くなった後、土地を取り戻そうと手を尽くしたが、本人がこなければ裁判で勝てないと言われた。靴の上から足をかく思いだった

▼東京に住むK氏は、40歳のときに、ちょっとした行き違いから会社を倒産させてしまった。債権者から「韓国籍」に変えれば、借金を棒引きにしてやると言われたが、70歳を過ぎた現在も、こつこつと返済している

▼それぞれが、それぞれの思いで歯を食いしばってきた。その血を吐くような思いが、いままさに報われようとしているのだ。(元)

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