第30回神戸まつり「兵庫県ワンコリア統一行進団」

総聯と民団 手をつないでパレード


 神戸の街に統一旗が舞った――。7月30日、神戸市・三宮の目抜き通りで行われた「第30回神戸まつり」のフィナーレを飾るパレードに、総聯・民団が初めて合同の「兵庫県ワンコリア統一行進団」を結成して出場。南北共同宣言を歓迎し、統一を願う在日同胞の熱い思いを沿道に訪れた110万人の観客にアピールした。

神戸の街に舞った統一旗

 双方から120人ずつ、総勢約240人の合同行進団が午後5時少し前、出発ゲートをくぐった。

 「兵庫県ワンコリア統一行進団」と書かれたプラカードを手に先頭に立つ呉夕佳さん(神戸朝高3年)は、少々緊張気味だった。舞踊部に所属しているが、怪我のため踊りには参加できず、プラカード係の大役を務めることになった。南のテレビ局をはじめ群がる取材陣に「緊張します。でも、今日をきっかけに南北がもっと近づけば」と笑顔を絶やさなかった。

 隊列の先頭には、神戸市内の総聯と民団の5つの支部委員長と支団長10人が交互に横1列に並んだ。手には「南北共同宣言歓迎 兵庫県ワンコリア統一行進団 2000・7・30」と大きく書かれた横断幕、着ているのは「ONE KOREA」の文字と、朝鮮半島の地図がデザインされたお揃いのTシャツだ。

 日頃から地域で顔見知りということもあって、出発前からみな和気あいあい。金孝・民団西神戸支団長(52)は隣に立つ康義平・総聯西神戸支部委員長の手を取りながら、「普段から兄さんだと思っている。一緒にこうやって行進できる日がくるなんて、本当にうれしい」と笑顔で語った。

 委員長らの後ろでは、民団側の青年たちによる農楽隊が、チャンゴやケンガリ、プを打ち鳴らしながら賑やかにパレードを盛り上げる。
 その後には、カラフルなチマ・チョゴリを身につけた民団婦人会のオモニたちと、大きな統一旗2本を挟み、お揃いのTシャツを着た総聯、民団の同胞たちが続く。それぞれが、朝鮮半島の地図がデザインされたうちわや統一旗の小旗を手に笑顔で行進する。

南の観光客も拍手

 次は、神戸朝高の吹奏楽部と神戸初中級学校中級部舞踊部。祖国の統一を夢見る子どもの気持ちを歌った「ヨンチョリの夢」の軽快なメロディーに乗せた、かわいい振り付けの踊りに沿道から拍手が沸く。

 吹奏楽部部長の李相大君(3年)は、「とてもうれしいです。統一を思うすべての在日同胞の気持ちを日本の人に伝えたいという気持ちを込めて演奏しました。今回は、練習時間がなかったために双方がそれぞれ別々に舞踊や演奏を披露する形となったけど、次からは演奏や踊りも合同で、本当の1つになれたらいいですね」と言う。

 セクトン(伝統的なカラフルなストライプ柄)のサテン地や朝鮮半島の地図、花で彩られた山車をはさみ、行進団の締めを飾るのは神戸朝高舞踊部だ。伝統的な衣装を身に着け、シャープな踊りを見せる生徒たちは、カメラマンらの人気の的だった。

 ボーイスカウトの交流イベントでソウルから神戸に訪れていた呉文mさんもその1人。「朝鮮学校の生徒たちはとてもかわいい。みんないつソウルに来るの?」と言いながら盛んにシャッターを押し、沿道から声援を送っていた。

「本当に感動的」

 昨年まで、総聯と民団の両県本部は神戸まつりのパレードに別々に出場していた。合同参加の案自体は数年前から持ち上がっていたが、実現にはいたらなかった。しかし今年6月の歴史的な南北首脳会談、南北共同宣言を機に合同参加が一気に進み、7月18日には神戸市役所で双方の副委員長、副団長が合同記者会見で発表。そして、ついに実現したのだ。

 「本当に感動的だ」。

 翌日の地元紙はすべてこの話題を取り上げていた。同胞たちの統一への熱い思いをアピールした「兵庫県ワンコリア統一行進団」は、完全に「神戸まつり」の主役になっていた。(韓東賢記者、写真は李鉉民記者)

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