子供たち 夏休みの過ごし方

東京第2 宋賢進校長に聞く


 楽しい夏休み。海や山、川で元気に遊び回る子供たちの姿を多く見かける季節だが、日射病や日焼け、水の事故など、危険もいっぱい。そこで、夏休みに気をつけたい点を、朝大師範教育学部体育科卒で東京朝鮮第2初級学校(江東区枝川)校長の宋賢進氏(36)に聞いた。(文成姫記者、文責編集部)

日射病には要注意/真昼の野外部活は避けて

 一番気をつけてほしいのが日射病などの熱中症です。最近、気温がどんどん上昇していて、連日30度を越す暑さです。加えて、子供たちの体力も10年ほど前に比べてだいぶ落ちています。

 冷房のきいた涼しい部屋でゲームなどをして遊ぶ子供が多いせいか、外の暑さに対応できる体力を備えた子が本当に少なくなりました。基礎体力が衰えているんです。

 一方で、ウリハッキョの生徒たちは、休み明けの中央体育大会や芸術大会を目指して、クラブ活動に余念がありません。もちろん、体力をつけるうえでクラブ活動をすること自体はたいへん良いことですが、指導教員などが最大の関心を払わなければ、日射病などの事故が起きる可能性は少なくありません。

 とくに気をつけたいのが時間帯。午後1時から3時にかけては最も蒸し暑く、日差しも一番強いので、この時間帯の屋外での練習は避けたいものです。基本的には日差しがあまり強くない午前中に練習をするのがよいでしょう。

 それでも日射病のような状態になってしまったら、脱水状態になっているので、応急措置としては、涼しい場所に移し、冷たい水でぬらしたタオルなどで体を冷やしてあげましょう。塩分濃度0・9%の水分などを補給してあげることが大切。汗と一緒に塩分も体外に放出されているので、補給するのが必須です。それでも意識が戻らなければすぐに病院に連れて行ってください。

規則正しい生活を/早寝、早起き、3度の食事

 例年、夏休みに入る前に子供たちには規則的な生活を心がけるよう強調します。早寝、早起き、3度の食事をきちんととるということですが、これがなかなか守られないのです。

 夏の間、朝食を食べられない子供が増えています。体力的な問題もありますが、夜遅くまでテレビを見ていて朝寝坊をして食べる時間がなかったり、夜寝る前に食べ過ぎて、朝は食欲がないという傾向が多いようです。食事をきちんととらないと、体力の低下につながります。

 ジュースや水、お茶など水分の吸収が極端に増えるのも困りものです。汗が出ただけ吸収すれば10分ですが、必要以上に吸収してしまい、また汗が出る。

 資料によると、水分のとりすぎは食中毒に対する抵抗力を弱めるそうです。人間は食べ物を胃の中に入れる際に胃酸を出しますが、これでほとんどの菌を殺せる。しかし、水をいっぺんに飲み過ぎると胃酸が弱くなり、菌を殺す能力も減退する。それで食中毒になる率が高まるというのです。

 子供たちが、水やお茶などの水分をいっぺんにではなく、少しずつとるよう心がけてほしいものです。 インスタント食品やスナック類などは脂質、糖質の多いものばかりで身体によくありません。

 食事の前にスナックやジュース、アイスクリームなどを食べてお腹がいっぱいになると、きちんとした食事ができずに体力が弱まり、夏バテになってしまう。これでは悪循環です。

 日課表などを作って、規則正しい生活ができるようにするとよいでしょう。

水の事故に気をつけて/個人行動は絶対ダメ

 最近の子供たちは昔に比べて基礎体力が弱まっています。体格はよくなっている反面、それを支える運動能力、体力が低下しているのです。

 すぐ疲れる、じっとしていられない、貧血を起こしやすい、などの現象がずいぶん増えてきました。じっとしていられないのは、せき髄が弱まっているのが原因だと言われています。

 体力低下の一番の原因としては、外で遊ぶ時間が少なくなっていることが挙げられます。ある調査によると、家の中での遊び時間は3時間以上が45・3%を占めています。それに比べ、外遊びの時間は最高が二時間以上、10・1%に過ぎません。家の中でする遊びと言えば、ゲーム、テレビ、ビデオなどです。

 これでは、体力のつきようがありません。
 子供は元気に外で遊ぶのが一番。クラブ活動に一生懸命に参加するのもよいでしょう。その際、くれぐれも熱中症には注意を。暑い時間帯は避け、必ず帽子をかぶるように心がけること。

 親と一緒に登山を楽しむのも一計です。水泳も体力作りには効果的です。

体力向上の夏に/外で元気に遊ぼう

 夏休みは山や川、海へと楽しいスケジュールが盛り沢山。しかし、くれぐれも気をつけてほしいのが水による事故です。

 わが校でも山と海でキャンプをしますが、その際に個人行動は絶対にとらないよう強調します。先生たちも注意を怠りません。個人行動をとることによって、大人にはぐれてしまい、事故が起きるということがままあるからです。

 海や川などでは、必ずしも深い所で溺れるとは限りません。流れに巻かれたり、突然足をとられる場合があるので要注意です。

 日焼けをしすぎないことも大切です。紫外線は皮膚がんの原因になると言われており、オゾン層の破壊が続き、今後、皮膚がんが増えていくと言われています。子供は皮膚が弱いので、海や川から出た際には必ずTシャツなどで肌を守るようにさせてください。

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