取材ノート

「われらの願い」


 先月、「北朝鮮(DPRK)人道支援NGO会議公開シンポジウム」を取材した。会議は、95年の大水害以来、食糧難に苦しむ朝鮮を直接的に支援してきた国連各機関、世界各国および国際的なNGO(非政府機関)の関係者が、情報交換と今後のいっそうの支援を呼びかけるために開いたものだ。

 シンポには、南朝鮮最大の対北支援NGO「同胞助け合い運動」からも執行委員長の徐京錫牧師をはじめ、代表が参加。同胞への支援を熱く訴えた。おりしも南北首脳会談直後。私と、もう1人の記者も、徐牧師とこの場で会えたのがとてもうれしく感じられた。

 シンポ後、関係者によるレセプションが開かれた。神奈川の女性同盟と民団青年会、在日韓国青年連合の合同出演によるサムルノリ公演が会場を盛り上げるなか、国連機関やNGOの平壌常駐代表経験者らが次々と指名され、スピーチ。最後に指名されたのが徐牧師だった。マイクを握った牧師は、「今日は色々な人に会いました」と言い、にこにこしながら、後ろの方に立っていた私たちの方を指差した。そして、「総聯の女性たち、どうぞ前へ来て」。

 会場の視線は私たちに集中。出ないわけに行かない。私と同僚と、もう1人、同胞女性が出る。「あ、男性もいますか」。男性も数人。次は牧師、「南から来た人たちも」。数人が歩み出る。すると、「じゃあ、ここにいる在日同胞みんな」。日本市民と共同で支援活動を行っているNGOの関係者、民団青年会、韓青連…、会場の半数近くが前に集まってしまった。

 「今日、この場で会えて本当にうれしい。ではみんなで歌を歌いましょう」。促されて、みんなで「われらの願い」を合唱した。拍手のなか、手と手がつながれ、大きな輪になって揺れた。(韓東賢記者)

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