◇ 金剛山開発 ◇

現代と北の合意


 6月29〜30日に訪北した南朝鮮・現代グループの鄭周永前名誉会長一行は、29日に元山で金正日総書記と会談。南に帰還後、「金剛山を経済特区」として開発することなどを、北と合意したと発表した。南北共同宣言の直後だけに、今後の経済協力事業の順調な進展を予感させる材料として注目されている。

南でふくらむ期待/パートナー ≠ノ信頼感
カギは財源確保

3ヵ月以内に

 7月1日、南各紙の1面トップこそ、離散家族相互訪問に関する南北合意の報が占めたものの、それに並んだ「金剛山経済特区」の記事中にも、「画期的」との字句が踊った。

 北との合意については、鄭前名誉会長とともに訪北した金潤圭・現代峨山社長が、30日の記者会見で明らかにした。

 それによると、北との合意内容は、金剛山(海金剛)の南端から通川までの約50キロの区間を、貿易・金融・文化・観光が集積した「経済特別地区」に開発するというもので、現代以外の企業や外資も誘致する。また、北側の人材を活用する先端技術研究開発団地「金剛山バレー」(仮称)も造成する。7月中にも調査に入り、3ヵ月以内には建設に着手したいとしている。

 また、従来から行われている金剛山観光でも、対象をすべての海外同胞に広げ、コースも拡大するという。

 一方、建設地を現代が求める海州もしくは南浦にするか、北側が主張する新義州かで平行線をたどっていた西海岸工業団地は、新たに候補地として開城を追加。これら4ヵ所を現地調査したうえで、最適地を選ぶ方向を確認した。

当局も「後押し」

 今回の合意は、「南北経協の新たな章が開かれる」「両者がともに利益を得る『ウィン―ウィン協力時代』を迎える」(東亜日報)と、大きな期待感をもって受け止められた。同紙はまた、「積極的に歓迎する。法的に後押ししたい」との、政府当局者のコメントも載せている。 

  これまで、南北の経済交流は現代の金剛山観光を含め、北の特定の地域で、特定の南の企業が個別に事業を営むかたちで行われてきた。それが、南北共同宣言以降、ソウルから新義州までをつなぐ京義線鉄道の復元構想、そして今回の金剛山経済特区と、点から線へ、線から面へと発展する様相を見せている。

  北の事業姿勢への信頼が増していることも、南の期待を裏打ちしている。

 統一部は今年1月に発表した資料で、98年11月から行われている金剛山観光の経験に触れ、「南北の事業主体が長期プロジェクトをともに進める可能性を示した」と指摘していた。

 今回の合意に関して金社長は、北も羅津―先鋒開発の教訓を得ている、として「早い時期に投資保護協定、二重課税防止など、外資誘致に必要な措置が取られるだろう」と言明。パートナーへの信頼を示した。

外資誘致に力

 ただし、課題もある。最大の懸案は、資金調達だ。

 現代はこれまで、金剛山観光との関連で4500億ウォン(1ウォン=0.1円)を北に投資しているが、事業自体は赤字だ。

 例えば、2000万坪規模になる西海岸工業団地は、「年間輸出額を200億ドルとすると、事前の投資額は少なくとも50億ドルは必要なはず」(朝鮮日報)とされている。ただでさえ財務が悪化している現代グループには、重すぎる負担だ。

 現代は外資誘致の方針を強調。今年後半は、大々的な海外投資説明会を開いて行く計画だ。南北経済協力の試金石として、大いに注目される。

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