科学重視で強盛大国
国造りの「恒久的な路線」/電子工学に力、情報化の波に
朝鮮が98年8月に打ち上げた国産初の人工衛星「光明星1号」
既報のように、朝鮮労働党中央委員会機関紙労働新聞、党中央委員会政治理論誌「勤労者」の共同論説「科学重視思想を掲げて強盛大国を建設しよう」の全文が、労働新聞4日付に掲載された。
政治、軍事、経済的に発展した強盛大国を建設するには、科学技術を世界的水準にする必要があるというのが趣旨だ。発表時期が南北首脳会談の後だけに、南北経済協力の行方ともからめて注目される。
コンピュータ技術は相当水準/ソフト開発で南北協力 知識に明るい 近年、朝鮮の科学技術分野で一番の成果として挙げられるのは、1998年8月の初の国産衛星打ち上げだ。これで朝鮮は世界9番目の衛星保有国となった。「数学と物理学などの基礎科学、生命工学、宇宙航空産業分野は南より高い水準」(大韓毎日6月15日付)とまで言われている。 電子工学分野も相当水準に達している。 朝鮮がコンピュータ技術の発展に力を入れているのは、金正日総書記の意図によるものだ。 総書記は91年10月、全国科学者大会参加者に書簡を送ったが、そのなかで電子工学の発展を最重要課題に掲げた。96年11月には、「私は科学を重視するため、自らコンピュータ技術を研究し、指導している」(民主朝鮮99年3月25日付)と述べた。 昨年1月に科学院を訪れた際には、新たに設けられた電子工学部門と数学研究所を長時間にわたって視察している。 実際、総書記はコンピュータの知識に相当明るいと言われ、5月末の中国訪問で聯相グループのコンピュータ生産工場を参観した際には、幅広い知識を披露し周囲を驚かせたという。 強盛大国 電子工学部門での南北協力関係はすでに始まっている。今年3月、北京で発足式が行われた「朝鮮コンピューター・三星ソフトウェア共同協力開発センター」はその1つ。「ソフトウェアの分野における南北協力の第1歩」(月刊誌「マル」6月号)とされ、今年中に南北単一ワードプロセッサーを開発するほか、いくつかのソフト開発に着手する予定だ。 電子工学の発展に力を入れている背景には、世界的な情報化の波と電子産業発展のすう勢に乗って、経済を再建し、強盛大国を建設しようということがある。 朝鮮が描く強盛大国は、思想、政治、軍事、経済などすべての面で最高の力を持った国。金日成主席は80年10月の朝鮮労働党第6回大会で、80年代に到達すべき社会主義経済建設の10大展望目標を提示し、この目標が達成されれば、「わが国は経済の発展水準において世界の先進国の隊列に堂々と加われる」と言明した。強盛大国のイメージもこれに近いものだ。その実現いかんは科学技術の発展にかかっている。 総書記は91年10月の科学者大会参加者への書簡のなかで、「現代は科学と技術の時代である」として、経済建設に占める科学技術の重要性を指摘していた。 朝鮮労働党は当時、主要技術経済指標の世界的水準到達のための2000年までの科学技術発展展望目標を提示。具体的な内容は明らかにされなかったが、これが実現すれば「科学技術発展で先進国の隊列に加わることができる」(総書記の書簡)としていた。
(資料)労働新聞、「勤労者」共同論説の注目される点 ・革命精神だけで革命と建設を進めていた時代は過ぎ去った。高い革命精神プラス科学技術、これが社会主義を成功へと導く道だ。 ・科学技術を革命と建設のすべての活動に確固と優先させ、それに最大の力を傾け、社会主義建設において提起される問題を科学技術に依拠して解決していくところに、党の科学重視思想の本質がある。 ・工場は稼働できずとも科学技術の発展は絶対に止めてはならないというのが党の揺るぎない決心だ。 ・党の指導のもとに、最も困難な時期、科学院と大学に最新の研究基地が一層しっかり築かれた。科学者、技術者の隊列が一層拡大され、彼らの活動条件、生活条件を保障する活動に大きな力が注がれた。 ・党の科学重視思想は、国の科学技術を最短期間内に世界的レベルに引き上げるという大胆でスケールの大きな科学革命思想だ。 ・われわれが建設する社会主義強盛大国はとりもなおさず科学技術の強国だ。 ・われわれが自力で生きていくためには、科学技術に徹底して依拠しなければならない。 ・朝鮮労働党と朝鮮人民は現在、勝算のある科学技術革命を行っている。 ・わが国の科学技術の急速な発展は、金正日総書記の科学重視政治によって確固と保証されている。 ・主体を確立してこそ、科学技術の発展で実利を保障することができる。 ・われわれには科学のための科学などあり得ない。われわれのものを持って、われわれの自立的民族経済と国防力強化に実質的な貢献をすることが朝鮮式の科学研究事業である。 ・科学研究事業と技術発展において主体を確立するということは、決して世界的な科学技術の成果を導入する事業を軽んじることを意味するのではない。…われわれは世界各国で収めた科学技術の成果を積極的に学び、それを大胆に導入せねばならない。現代科学技術発展の流れに合わせて電子工学、生物工学をはじめ最先端の科学技術を速やかに発展させねばならない。 |