投  稿

「白いウサギ」/金志成


 よく見てごらん
 何に見える?
 ここが耳で、ここが顔
 そうそう
 ウサギみたいだね

 そう言って先生がくれた
 真っ白な画用紙に
 クレヨンで描いた
 ウサギの国

 それが少年と祖国の
 始めての出会いだった
 その瞳の輝きは
 祖国へのあこがれだった

 そのウサギの体が
 無残にも2つに裂かれ
 痛みと悲しみの涙
 流している事を知った時
 統一という言葉を
 少年は始めて教わった

 統一すればすべてよくなると
 北も南も在日も
 世界に散らばった
 全てのコリアンが
 共に喜び
 幸せになるんだと

 異国の辛い生活も
 北か南かと
 互いになじりあうことも
 離ればなれの生活も
 すべて終わるんだと

 「われらの思いは統一
 夢にも描く統一」

 この歌を何度も歌い
 立ち上がった青春時代
 光州で散った数多くの青春
 「掟」を破り北へ渡った青春
 統一の旗をなびかせて
 共に歩いた大行進
 年を重ねるごとに勢いを増す
 汎民族の大きな波

 亡国の悲しみから始まり
 分断の歳月を送った20世紀
 この時代に生きたコリアンたちが
 ついに取り戻した民族の未来
 それが祖国統一

 時代は大きく動いた
 未来形が進行形に変わる
 激動の瞬間
 輝かしい新世紀を前に
 いつかの少年は
 父親になっていた

 よく見てごらん
 何に見える?

 父親は息子に
 紙を渡しクレヨンを握らせた
 そして語った

 希望に満ちた祖国の未来と
 我が息子の未来を
 コリアンたちの未来を
 そして
 自分が生きた時代を

 ワンコリアの時代
 21世紀がもうはじまるんだと

 息子は描いた
 青い海に囲まれた
 真っ白なウサギを
 祖国への憧れと
 未来への希望に
 瞳を輝かして

(京都朝鮮第2初級学校 教務主任)

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