第22回世界アマ囲碁選手権戦
朝鮮代表・朴虎吉(準優勝)
日本代表・坂井秀至(優勝)
事実上の「優勝戦」と多くのファンの注目を集めた
朴虎吉選手(右)と坂井秀至選手との1戦
<再現、注目の1局>
スイス方式8回戦で行われた、第22回世界アマチュア囲碁選手権戦(6月19日〜22日、仙台国際センター)に朝鮮代表として出場した朴虎吉(15)選手は5回戦まですべて中押し勝ちで6回戦に臨んだ。対戦相手は同じく全勝の日本代表―坂井秀至選手(27)。
全勝者が2人にしぼられて行われた6回戦のこの対局は、優勝者を占う大事な一局。結果的には9目半の大差で敗けたが、アマ第1人者の強豪、坂井選手に途中までは互角に戦った。 第1譜 黒勢力圏で大いばり タスキで始まった注目の1局は、黒が右下隅と左下隅で実利を得て、白が下辺に模様を築く展開になった。白28まで、武宮正樹九段の宇宙流を好むと言っていた朴選手の棋風の現れだ、と思わせたとたん、白は32のツケコシから42まで、模様を地にまとめようとした。白14のちぐはぐな手(黒17のツギに手を抜くつもりなら30が普通)を黒29、31とつけ込まれ、この進行にさせられた感もある。 先番 坂井秀吉(日本) 今度は右辺が黒っぽくなり手のつけ方がむずかしい。小考のすえ、白44と黒45を交換して白46。劣勢を意識し、白16を引き出す手を見ながらの強引なサバキ(局後に手がないことが判明)に出た。黒は49、51と味消しに2手を費やした。 その間に白は50、52と黒の勢力圏で小さくない地を持ちながら安定、白の言い分がとおった姿だ。形勢不明でも流れは白か。 第2譜 大きなチャンス逃す 右上の折衝から白に手番がまわり、チャンス到来。実戦は白60から70まで、下辺に約40目の確定地をつくった。しかし日本棋院の時本壱八段は参考図△▲の交換(実戦60、61)をキカシとみて白1とヒラく方が大きいという。上辺の白石が安定するうえ、白にABCと上辺から右上隅をそっくり地にする手が残る。続いて白2ならかまわず白3。「この図なら白のだいぶ打ちやすい碁だったでしょう」。
大きなチャンスは逃した。が、まだ勝敗のゆくえはわからない。ところがまた失着が出てしまった。白74のトビがそれ。いと守っていれば細かくなりそうで、これからの碁だったという。 朴選手は、中央黒の勢力を意識しすぎたと反省していた。 黒75のウチコミから上辺の白石が攻められ、流れは完全に黒に傾いた。白が106で生きたときの黒107が勝利宣言。坂井選手は、形勢に自信がなかったらろあたりに打って複雑にしようと思っていたと言う。盤面10目の差は開いていた。この後、黒に手厚くヨセられ、痛い1敗を喫してしまった。 局後、朴選手は「白を持たされたとき、坂井さんに勝てると思わなかった」と、弱気とも謙そんともとれる言葉を漏らした。 翌日、朴選手は気を取りなおして、残る7、8回戦を完勝、2位に輝いた。 朴選手は表彰式の舞台上でこう宣言した。「もっと勉強して、次回は今回よりいい成績をあげる」 (姜イルク記者) 【関西棋院 金秉民六段の話】(大会4日間を通して) 「虎吉くん独特の感覚で打つ碁は、見ていてとても楽しかった。定石にとらわれず、新しいものを創りだそうとする姿勢が伝わってくる。形勢が少し悪くて乱暴したくなる所でも、じっと我慢して機をうかがう冷静な手も多かった。強いというより、うまい。碁を習って5年とはとても思えない。今後が楽しみだ」 読者5人にプレゼント 「五段の壁を破る発想転換法」/
苑田勇一九段著 著者の苑田勇一九段は弱石を美人と表現する。弱い石が盤上に出現するや、すぐに攻めたくなるもの。だが、本人は攻めているつもりでも、単なる追っかけのケースが少なくない。 苑田九段は「弱石(美人)は追わず。これが苑田流上達法の鉄則」と明快だ。 さらに、自分の堅い石、相手の強い石の周辺における戦い方にも注意が必要という。 「堅い石(堅物)に近寄るな」。これも鉄則だという。 本書を読んで、その極意を身につけ、実戦に臨んで応用していけば、五段の壁を破る発想転換ができるはずである。 定価=922円+税。発行=棋苑図書(東京都中央区銀座8―12―15、TEL 03・3541・8469) 応募方法 出版社の寄贈で苑田勇一九段著「五段の壁を破る発想転換法」を5冊プレゼント。はがきに〒住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記のうえ、朝鮮新報日本語版「囲碁本プレゼント」係りまで(題字横に住所、電話番号は明記)。7月21日必着。本紙に対する意見・感想も添えてください。 |