春・夏・秋・冬

 映像ドキュメンタリー作家でジャーナリストの岡本愛彦さんが教授退官後、自費で「蟷螂(とうろう)通信」を発行されている。23号になる。古い世代には、日本のテレビドラマ史上に金字塔を打ち立てた「私は貝になりたい」(1958年制作)が記憶に残っていると思う。72年に訪朝し金日成主席と会見。日朝問題に時宜適切な発言をされてきた

▼「南北会談バージョン」と銘打たれた今通信で氏は、南北共同宣言を「世界の歴史に記録される極めて重要な文書」と評価し、「両首脳の勇気と英断に対して、心から敬意を表したい」と賛辞を送って止まない

▼反面、森首相のコメントを取り上げて、「南北の対話推進の為に、一体何程の貢献をしてきたのか」と問い、「第1、公式の謝罪すら出来て居ないでは無いか」と舌鋒鋭く批判している

▼すでに言及した事があるが、南北最高位級会談に対する日本の視点の中で、すっぽりと抜け落ちているのが、氏も指摘されるように朝鮮民族に対する過去の問題である。日本は分断の原因を作り、米国の世界制覇戦略の尻馬に乗って南北対決を助長させる外交を展開、朝鮮半島の緊張に加担してきた

▼この約100年近い負の歴史を正面から見すえないと、「『戦後補償』等モラル無き日本は、必ず孤立と破滅の道を歩む」

▼岡本氏は現在、日本ジャーナリスト同盟の顧問をされているが、通信を手にしたその日、同じ顧問にあり、まさに長年、南北統一問題に心血を注いで来られた宇都宮徳馬元参院議員の訃報に接した。心から冥福を祈りたい。 (彦)

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