トンポ(同胞)
金明善さん (26)
門戸解放後、初めて国立大学院に入学
教え子に「学ぶ権利」を
「こんなに早く決まるとは思ってなかった」と、自分自身驚いている。「教師をやめて1年間は勉強するつもりだったんです」 たまたまインターネットで、北海道大学大学院の新科設立と、それに伴う新入生の募集案内をみつけて問い合わせたのが3月27日。そして合格発表が4月21日だった。この間1ヵ月足らず。文字通りのスピード入学だ。 金さんは、昨年7月に文部省が取った大学院受験資格緩和措置により、朝鮮大学校卒業生も国立大学の大学院を受験できるようになってから、初めての合格者となる。 大学院での研究テーマは「多数派言語によるメディアが少数派言語継承に与える影響について」。「教えながら、生徒たちの使う日本語的なウリマルに興味を持った」という。「例えば同じ3世でも、在米、在中の同胞と在日同胞が話す朝鮮語は違う。それぞれの言語習得過程と、社会との関連について探っていきたい」 東北と地元北海道で4年間英語の教師を努めた。 「教えるためには、教師も常に学ばなければ」と、東北時代に同校の許可を得、カナダへ語学研修に行ったり、生徒らと一緒に英語検定を受け、準1級に合格したりと、いつも向学心にあふれていた。「この4年間、生徒たちに教えられてばかりだった。生徒のために本気で泣いたり、笑ったりする自分が、昔からは想像できない」 彼らのために、国立大学受験資格をはじめとする「学ぶ権利」の獲得に力を注ぎたいと語る。「日本の大学で学ぶことを奨励しているわけではないんです。基本は『自分は何者であるか』をはっきり自覚すること。それを教えてくれたのは朝鮮大学校でした」 合格の第一報を知らせたのも、当時の恩師だった。 (李明花記者) |