春・夏・秋・冬

  ついに、実現した。13日午前10時38分、金正日総書記がタラップから降りてきた金大中大統領と両手で固く握手を交わした。その瞬間、衛星放送を見守っていた本社の編集局では、拍手がわき起こった

▼解放後の世代にとって祖国の統一は、正直に言ってピンとこないものがあった。最初に統一を意識したのは、60年の4.19革命のとき。学生が車に鈴なりに乗って、「来たれ南に、行こう北に、会おう板門店で」と叫んでいた映像に、幼心にも感動した

▼次は72年、7.4南北共同声明が発表されたとき。社会人にはなっていたが、声明発表がもつ意義が分からず、1世の興奮する姿を見て、その重みを知った

▼分断の痛みを自分のこととして感じるようになったのは、父親になってからだ。子供の将来を憂いた時、親の気持ちが分かった。異国でつくオモニのため息を、じっと朝鮮半島のニュースを見つめていたアボジの苦渋を知った

▼オモニの兄は済州道4.3事件で虐殺された。アボジは故郷にそこそこの土地を持っていた。もちろん、肉親がいる。それでも故郷に帰らなかった。こだわりがあったからだ。そのこだわりが何だったのか、ついぞ聞けなかったが、想像がつく。アボジは「あんな奴ら……」と、よくののしっていた

▼金大統領がタラップから降りるとき、金日成主席の肖像画に向かって、軽く会釈したようにみえた。錯覚かもしれない。でも南北の最高指導者が固く握手したのは、紛れもない事実だ。新しい千年紀の歴史が、いままさに始まろうとしている。 (元)

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