金正日総書記が出迎え、金大中大統領と握手

歴史的な対面と南北最高位級会談
南側代表団、平壌到着


【平壌6月13日発朝鮮中央通信=朝鮮通信】

  朝鮮労働党総書記であり、朝鮮民主主義人民共和国国防委員会委員長である金正日同志は13日、平壌空港に赴き、平壌を訪問する金大中大統領を温く迎接した。

 この日、平壌空港と首都の通りは熱い歓迎ムードに包まれていた。

 5000年の悠久な民族史に特記すべき4.8南北合意書によって、民族分断史上初めて開催される今回の出会いと会談は、7.4南北共同声明でうたわれた祖国統一3大原則を再確認し、民族の和解と団結、交流と協力、平和と統一を促進するうえで転換的局面を開く歴史的な契機に、民族の主体的な努力によって統一聖業を必ずや成し遂げようとす民族の確固たる意志を誇示する重大な事変となる。

 共和国の国旗が力強くはためく空港には、同胞愛の情と統一の熱気を抱いて駆けつけた各階層の首都市民が集まっていた。

 金正日同志が空港に現れた。

 その瞬間、空港では嵐のような「万歳」の歓声が沸き起こった。

 偉大な民族大団結の経綸(けいりん)により祖国統一と民族繁栄の聖なる偉業を導く金正日同志を身近にした群衆の大きな喜びで、広い空港は波打った。

 朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会の金永南委員長、朝鮮民主主義人民共和国国防委員会第1副委員長である朝鮮人民軍の趙明禄総政治局長、最高人民会議の崔泰福議長、朝鮮労働党中央委員会の金国泰書記、朝鮮労働党中央委員会の金容淳書記、朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会の金允赫書記長、朝鮮社会民主党中央委員会の金永大委員長、その他、党、政権機関、社会団体、省、中央機関の責任幹部が空港に出てきていた。

 午前10時30分、南側代表団を乗せた飛行機が空港に到着した。

 歓迎曲が流れるなか、群衆は花束を打ち振りながら、南側代表団を歓迎した。

 金正日同志は金大中大統領と握手し、あいさつを交わした。

 金大中大統領とともに統一部長官の朴在圭、財政経済部長官の李憲宰、文化観光部長官の朴智元、大統領特別補佐役の林東源をはじめとした南側代表団随員と記者が来た。

 金正日同志とともに金大中大統領は朝鮮人民軍陸海空軍名誉儀兵隊を閲兵した。

 子供たちが金大中大統領と夫人に花束を贈った。

 次いで、朝鮮人民軍陸海空軍名誉儀兵隊の分列行進があった。

 空港で金大中大統領は、書面で到着声明を発表した。

 金正日同志と金大中大統領が同乗した乗用車は、オートバイの護衛を受けながら市内に向かった。

 金正日同志は金大中大統領と宿所まで同行して宿所で歓談し、大統領とその随員らとともに記念写真を撮った。 

夢のよう、うれしい!

「血は水より濃い」実感
各地同胞/感激、興奮、涙・・・

 「夢のようだ 本当に嬉しい」――。金正日総書記と金大中大統領が歴史的な対面を果たした瞬間、テレビの映像を食い入るように見つめていた各地の同胞は喜びに沸いた。拍手と歓声のなか、同胞たちは会談の成功とやがて来る祖国統一のその日に思いを馳せた。

                                            ◇    ◇

 玄華胤(総聯兵庫・東神戸支部委員長、54) 総書記が金大統領を出迎え、固く握手を交わした瞬間、全身に電気が走ったかのような震えと興奮が来た。

 南北の最高位級が出会いを果たした姿は、まさしく朝鮮民族の統一と自主への意志を世界にはっきりと示した瞬間だった。もはや、外勢があれこれ干渉する余地はないだろう。

 韓相奎(総聯福岡・八幡支部顧問、78) 総書記の手厚い出迎えに、やはり私たちは同じ民族、血は水よりも濃いことを実感した。

 統一の日をどれだけ待ち焦がれてきたか。在日同胞も50余年もの長い間、分断された祖国の1日も早い統一を願って生きてきた。今回の会談が分断の民族史に終止符を打つきっかけになると信じている。

 李栄祚(朝青愛知・東春支部委員長、30) 歴史が動くその瞬間、その現場にテレビを通じて立ち会うことができて嬉しい。

 言葉で言い表せない感激とは、こういうものなのだろう。総書記と金大統領が車に同乗するのを見て、会談の成功を確信した。

 辛洋子(女性同盟東京・板橋支部上町分会所属、45) 対面の光景を見て、涙があふれた。一緒にテレビを見ていた79歳の姑は「生きている間に、こんな慶事に巡りあえるなんて」と、喜んでいた。

 北と南は1つの民族。理解し合うのも難しくない。統一を目の前に見た思いだし、何よりも子供たちの将来に明るい展望が開けた。

 長く非専従で活動してきた父が、かつて雪の降るなかで新聞や雑誌を配達して回った、その時の光景が思い浮かんだ。父の頑張りが実を結ぶ日が来そうだ。

統一運動、日朝交流進めてきた、日本各界の声

大変な快挙に感動/三木睦子

 会談が1日づれたことで、日本では心配する声もあったけど、実現してとても有り難いという気持ちになり、大変な快挙に感動している。

 私は3、4日前に、故小渕首相の葬儀に出席して下さったお礼もあったので、青瓦台に電話を入れた。その折、会談の雰囲気を和ませるためにも是非、夫人も一緒に同行してほしいと話したところ、「もちろんそうしたい」との返事があった。

 空港では、金正日総書記がご夫妻を出迎えに来ていて、大変うれしそうに握手を交わしていた。同じ民族が解け合うのは、それほど難しいことではないのだと実感した。これから手続きの面で、う余曲折があっても、とにかく50余年の歳月を飛び越える大きな一歩を歩み始めたことは、隣国の者としても大変嬉しいことだ。  (三木武夫元首相夫人)

民族問題、自主解決の表われ/菱木一美

 今回の会談は、21世紀という新しい世紀に向けて、民族の中でネットワークを作っていこうとする動きだと思う。両首脳は、互いに共存共栄していくために、とにかく民族が団結力を発揮しようということを話し合うのではないか。

 鉄道、電力などで結びついていくネットワーク化が統一へとつながっていく可能性は高い。その意味で、金正日総書記が平壌空港(順安飛行場)まで出迎えたということは、民族の問題を自主的に解決していこうとの決意の表れだ。

 そのためには、冷戦時代からの残しを除去する必要がある。すなわち、米軍の撤退、停戦協定の平和協定への転換だ。本来ならすでに解決されていてしかるべきだったが、今でも遅くはない。(広島修道大学法学部教授)

平和に近づく一歩/久野統一朗

 同じ民族の人たちが出会うことは本当にすばらしいことだ。南北のトップが出会うまで半世紀以上もかかったが、実現されて本当に良かった。

 南北それぞれ様々な事情を抱えているだろうが、今回の会談が朝鮮半島に住む人々が平和に暮らせる時代に一歩、二歩でも近づくきっかけになれば、と思う。会談はアジアの平和づくりにも好影響を及ぼすだろう。

 日朝友好の運動には、2年前に亡くなった父(元国会議員の忠治氏、日朝議連会長を歴任)の影響で関わるようになり、朝鮮にも2度訪れた。現在朝鮮では食糧状況が緊迫している。同族同士が助け合い、改善されればどんなにいいことか。

 国会は今期で引退することになったが、日本政府は朝鮮半島の平和のために、もっとリーダーシップを発揮するべきだ。 (前衆院議員)

劇的新鮮な驚き/前田康博

 金正日総書記が平壌空港で金大中大統領を迎えるであろうと予測はしていたが、まさか本当に実現したとは新鮮な驚きであった。劇的というしかない。今世紀中に分断に終止符を打つべくして、両首脳が歴史的な出会いを遂げたことについて、長年にわたって南北を取材してきた一人として心から喜んでいる。

 金正日総書記は、ポスト冷戦後の南北の平和と統一の時代を迎えるうえで大胆な政策転換を実行する力量と決断力を持っている偉大な指導者であるということを私はしばしば言い続けてきた。それを如実に示した今回の歴史的出会いは、「日米韓の政策協調体制」が根底から揺らぎつつあることを物語っているのではないだろうか。統一へのかじを大きく切った今回の歴史的出会いを、他人事のようにしか見ず、これまでと同様な外交の無策を続けるならば、日本はアジアの中で孤立せざるを得ないだろう。(北九州大学教授)

東北アの活性化に期待/金森久雄

 今日の南北トップの出会いを機に南北経済交流がいっそう進んでいけば、南北朝鮮全体の発展に大きく寄与するだろう。とくに、スタートから約10年、私たちが一貫して関心を持ち続けてきた朝鮮北部の羅津―先鋒経済貿易地帯への投資に弾みがつき、東北アジア経済が活性化することに期待したい。
 南北トップが握手する姿に、まさに雪解けを感じた。そして今回、とくに金正日総書記が表舞台に出てきたことは、今後、世界中の企業が朝鮮を投資対象と認めていくために大きなプラスになると思う。
 大きな状況変化のなかで日本は出遅れている。朝・日間には色々な問題もあるが、遅れを取らないよう、国交正常化へと進んでいくべきだろう。(日本経済研究センター顧問、環日本海経済研究所理事長)

勇気ある英断に拍手

 世界の状況も変えうる、歴史的な第一歩を踏み出したというニュースを聞いて、感激を禁じ得ない。長い間、民族分断という状況にあったが、会談実現は、まさに南北双方の統一に向けた努力が実を結んだといえる。きっと、同じ民族として率直な話し合いをしていることだろう。

 とくに、今回は1972年7月4日の南北共同声明を確認するということをはっきり明言しているだけに、会談は大きな成果を生むと確信している。

 今回の会談を決断した勇気と英断に拍手を送りたい。こうした動きは今後アジアの平和にも大きく寄与するものだ。

 しかし、日本の状況を考えると大変残念でならない。日朝交渉は再開はしたが、まったく足踏みしている。私たちは今後、日朝の関係改善を当然進めていくとともに、南北の自主的平和統一にも寄与する役割を果たしていくべきだろう。(社会民主党参議院議員)

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