山で元気!
赤城山
(827.6メートル、群馬県)
こだまする昔少年の元気な声
5月連休の数日後、板橋健脚会のシルバー組8人で伊香保温泉に3泊しての、高原ドライブと登山三昧の山旅を楽しんだ。最近3〜4年、この時期に、箱根や伊豆などの区立の保養所を利用している。今回は谷川岳、赤城山、榛名山へでかけた。 初日は谷川岳一ノ倉沢の軽トレッキング。ロープウェイ山麓駅の土合口から一ノ倉沢へ往復2時間の散策をした。5月中、車両通行止めの舗装道は年輪を重ねたブナやかえでの美しい風景、林の続く快適な道で、昔の街道であったことをしのばせるこけむした石垣や遭難者リリーフが見られ、雪崩箇所で補修作業が行われていたが、行き交う登山者は皆無だった。 マガチ沢雪渓の大景観を見て一ノ倉沢に着いた。日本三大岩場の巨大な岩壁が屏風のように立ちはだかる大雪渓には、何度来ても圧倒される。 世界一遭難事故の多い魔の山のしゅん険な風ぼうに、畏怖感動を覚えながら、足下の雪を踏む感触を楽しみ味わった。残雪の山肌は新緑に映え春が芽吹きはじめていた。 2日目は赤城山最高峰黒檜山登山。赤城山は火口原湖の大沼をとり囲むように連なる地蔵岳、駒ヶ岳、黒檜山、鈴ヶ岳などの総称。 宿を出て2時間余りのドライブで登山口に到着。大沼湖畔南の登山口から駒ヶ岳を経て黒檜山に登り、北登山口へ下るコースをとった。国民宿舎横から登山道に入るとシラカバやミズナラの林が続き、雑木林のジグザグ道から鉄の階段を3ヵ所上り、やがて笹に覆われた尾根道をたどる。駒ヶ岳の狭い山頂で昼食休憩、ひと息ついた。山頂付近の雑木はまだ芽が固いままだった。 薄曇りの風がさわやかで歩き易く、明るい草原の道をハイキング気分で更に小1時間、最後のひと登りで黒檜山山頂に。黒檜大神と彫られた大石やほこらが、すぐ先に山頂標柱がある。 下りは大きな石が続く急斜面のゴーロで、足場を確かめながら降りる。百名山登頂を遂げ、喜々として下山する昔少年の元気な声が「ヤッホー」と何回も谺(こだま)した。 宿に戻り汗を流した後は、旨い酒で楽しい語らいと憩いのひととき。翌日は榛名登山。山好きにとって、これ以上はない贅を満喫した。
(東京・板橋健脚会会長李福権) 国民宿舎登山口〜駒ヶ岳〜黒檜山〜北登山口〜国民宿舎登山口(5月12日歩行時間3時間20分) 【山行アドバイス】 一般向きコースで歩きやすい。逆コースは急登。前橋からバス運行。 |