ピョンヤン声楽俳優団  東京、大阪、京都公演
第1級の歌声、観客を魅了


 朝鮮を代表する、マンスデ芸術団のトップ歌手で構成されたピョンヤン声楽俳優団の公演が東京(5月24日、東京厚生年金会館)、大阪(26日、メルパルクホール)、京都(28日、京都会館第1ホール)でそれぞれ2回ずつ行われた。東京3700人、京都300人、大阪1800人が観覧。美しく伸びのある歌声に、「さすが第1級のみなさんの歌。時間のたつのを忘れて聞き入った」(槙枝元文・朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会議長)、「マイクがいらないほど。生の声が聞きたかった」(ソプラノ歌手の近藤日佐子さん)などの感想が寄せられた。

民族愛する魂感じた=^朝・日友好にも一役

 混声四重唱「栄えあれ祖国」で幕を開けた各公演では、「花を売る乙女」、「南山の青い松」、「故郷の春」、「ノドルの川辺」など在日同胞たちにも馴染みの深い朝鮮の歌の数々が舞台を彩った。

 アンコール曲としては「翼をください」(于善淑・ソプラノ歌手)、「ふるさと」(許光洙・バリトン歌手)など日本の歌が並んだ。許光洙はまた、歌劇「セビリアの理髪師」のアリア「かげ口はそよ風に乗って」を披露。「特別大きくない体であれほど太く広域の低音が出るとは」(山本禎二・日朝音楽芸術交流会常任理事、元NHK大阪専属歌手)と喝采を浴びた。

 東京公演では、映画「タイタニック」の主題歌を歌った李香淑(ソプラノ歌手)に、客席から大きな拍手が沸き起こった。東京・練馬に住む李英銖さん(47)は、「日本の歌や『タイタニック』の主題歌など、多様化した在日同胞社会の要求を反映した良いプログラムだった」と感想を述べた。

 京都公演を観覧した社会民主党京都代表の安井勉氏(53)は、「技術的にもすばらしいが、国や民族を愛する魂が感じられるのが特徴だ。それが聴衆を感動させるのだろう」と賛辞を惜しまなかった。


 各公演では、女性三重唱「統一の子守歌」、エンディングの「リムジン江」、「アリラン」など統一への願いを込めた曲目も目立った。折しも、6月には分断後初の南北最高位級会談開催が予定されており、在日同胞社会でも統一への期待が大きく膨らんでいる。

 大阪公演で、「リムジン江」を聞きながら涙を流していた崔妙華さん(29)は、「南の故郷に行きたくても行けない1世同胞の恨(ハン)を思い涙が込み上げてきた」と話す。東京の公演を家族で見に来ていた姜英植さん(54)は、「南北最高位級会談の成功が目に見えるようだ」と語った。

 京都市国際交流協会に勤務する鄭昌根さんは、10年前に南朝鮮から訪日した。「公演を見て以北に対するイメージが大きく変わった」と述べた。


 アンコールでは日本の歌を披露するなど歌手らは朝・日友好にも一役買った。

 京都大学の上田正昭名誉教授は、「心に響くものがあった。早く国交が正常化し、文化交流をより進められれば」という。

 朝鮮の歌手の公演を見るのは初めてという大阪府生活文化部の多田弘氏は、「ピョンヤン声楽俳優団の訪日は、日朝関係改善の気運を高める大きな契機になった」と話していた。

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