取材ノート
同級生店長と創造力
年末から春先にかけて、若手の同胞経営者を取材する機会に多くあった。別に意識して選んだわけではなく、紹介されたのが偶然、記者と同世代だったというパターンが多い。
埼玉県与野市に年末にオープンしたばかりの生活雑貨店を訪ねた。同店は、雑貨店で喫茶店も営むという、雑貨業界でも珍しいスタイルで、地元住民からの人気は高い。 店長は、実は現地に着くまで知らなかったのだが、偶然にも朝鮮学校中級部の同級生。そこで、初めは取材そっちのけで昔話に花が咲いたのだが、いざ仕事の話になると、店長の顔つきはパッと経営者に変わる。 聞くと、喫茶室を併設するというスタイルは、「経験も実績もない自分が厳しい業界を生き抜くには、オリジナルの『売り』が必要」と、知恵を絞りに絞って編み出したものだという。 誰でも考えそうでいて、実は誰も手を付けていない独創的なスタイル。思い付くまでに時間も掛かっただけに、店長は「うちだけでしょう、このアイデアは」と自信を見せる。現状に満足せず、常に新しい物を生み出す創造力、客に喜ばれたいという気持ちが、この店を魅力的なものにしているのだなあと、話を聞きながら関心した。 記者歴20年、30年のベテランから見れば、記者はまだまだ新米。日々の激務のなかで先輩から教わることは数多いが、こうしてたまに同世代の話を聞くと、大いに刺激になるものだ。 それにしても、同級生が店長としてバリバリ働いている姿はうれしくもあり、また自身の現状と比べるとショックでもあった。朝鮮新報も、同胞のニーズに応えた柔軟な紙面づくりが第1。記者も27歳でアイデアを枯渇させている場合じゃないと、改めて気を引き締め直した。 |