再来年4月から、保護特例廃止/超過分一律カット
払戻額1000万円に制限
預金保険法改正、ペイオフ解禁へ ペイオフ(預金の払戻保証額に上限を設ける措置)の解禁を柱とする預金保険法改正案が、先月20日の衆議院本会議で政府・与党3党の賛成多数で可決、参議院での審議を経て今月中旬にも成立する見通しとなった。 改正案は、破たんした金融機関の預金者を保護するための特例としてこれまで行われてきた預金全額保護措置を、2002年3月末をもって打ち切り、同年4月からペイオフを解禁するというものだ。大蔵省ではその理由について、「最近における金融環境の変化に対応し、我が国の金融の機能の一層の安定化及び破綻金融機関の的確な処理 現在はペイオフが凍結されているため、金融機関が破たんした場合、預金は全額保護される。ペイオフ凍結は1996年4月から2001年3月末までの5年間と定められているため、ペイオフ解禁は2001年4月から行われる予定だった。だが、「信用組合の経営に不安が残る中で全面解禁するのは、時期尚早」(朝日新聞1999年12月30日付)との判断から、昨年末に与党が解禁の1年延期を決めた。改正案はこの決定に基づくものだ。 ペイオフが解禁されると、預金保険でまかなわれる払戻保証額の上限は、1人当たり1000万円までの元利とその利子のみとなる。1000万円を超える分は一律カットされ、払い戻しは認められなくなる。ただし、個人の貯蓄ではなく企業の資金決済に使われる「決済性預金」については、解禁後も1年間に限り、全額保護されることになっている。払い戻しの財源となる公的資金の枠は、現行の7兆円から13兆円に増強される。 改正案ではまた、大手銀行や地域の中核を成す地方銀行が経営危機に陥った際に、公的資金を活用できる、例外的な「金融危機対応措置」も設けている。 「ペイオフ解禁が『金融ビッグバン』の完成」(同)と見ている政府・与党は、法案の早期成立をもくろんでおり、参議院でも審議がすんなり進むと見られている。 なお、生命保険会社の破たん処理に公的資金を投入できるようにする保険業法改正案も、預金保険法改正案とあわせて衆議院を通過しており、やはり今月中旬に成立する運び。生命保険会社の破たんに備える「生命保険契約者保護機構」が持つ基金の規模を、現行の4600億円から9600億円に拡大し、最大4000億円の国庫補助枠が新設される。破たん処理の際の会社更生法適用も可能になる。 |