私もウリハッキョの保護者

日本だからこそ民族£mるべき
人生決めるのは子ども、幅広い選択肢を


 多様化する在日同胞社会の構成。両親のどちらかが日本人やフィリピン人などの「ダブル」の子供、また両親のどちらかか、もしくは両方が南朝鮮からのいわゆるニューカマーや中国朝鮮族であるなど、既成の枠でくくれない多彩なバックボーンを持つ子供がいる。そんななか、朝鮮学校に子供を通わせる日本人の「オモニ」2人に会った。

見つけた!ウリマル学べる学校
姫路初級・3年金太陳くんのオモニ 久美子さん

 姫路朝鮮初級学校(兵庫県姫路市)に通う金太陳君(3年)と同校付属幼稚園の希京ちゃん(5)兄妹の父親はソウルに住む。

 母親の久美子さん(34)は19歳の時にソウルへ留学。そのまま暮らすようになり現地で結婚した。しかし90年代後半に南朝鮮経済が急速に悪化。久美子さん一家も住居を手放さなくてはならないほどの打撃を受ける。看護婦の資格を持つ久美子さんは「同じ働くならお金が何倍にもなる日本で働こう」と4年前、夫を残し、子供2人を連れて故郷、姫路へ戻る。

 日本の保育園に通う子供たちはどんどんウリマルを忘れていった。「確かこの辺に朝鮮学校があったはず」。久美子さんは太陳の学齢期を前にNTTの番号案内で姫路初級を探してすぐに電話、その日のうちに学校を訪れ願書を書く。

 「アッパが南の人なので、北偏重なのか正直言って心配だったが、自分の目で学校を見て、教科書を見て、先生と話して、OKだと思った。とにかく、ウリマルの勉強をさせたかった。日本の学校に行かせたらアッパとコミュニケーションが取れなくなる」

 朝鮮学校の印象について聞くと、「貧乏学校、ボロ学校」と笑った。「でもそれは、制度的に恵まれていないから。お金がないから何でも先生たちの手作りで、物を大切にする気持ちを育むことができていい」。だから学校のために協力を惜しまない。ある日久美子さんが、誰にも告げずに学校中のトイレのカーテンを新品に交換していたというエピソードもある。

 3年生になった太陳を見て、「礼儀やあいさつ、基本的な人との関わり方をきっちり教わった。上下の関係を学ぶうえで小人数は悪くない。先生たちを全面的に信頼している」と語る。昨夏の運動会の際にはソウルからアッパもかけつけ、満足して帰った。

 「子供たちは二重国籍。どっちを取るかは大きくなって自分で選べばいい。そのためにもできるだけ幅広い選択肢を与えてあげたい。アッパが住み小さい頃過ごした南のこと、私が生まれ今暮らす日本のこと、そして朝鮮学校で北のことも身近に感じるのは、必ず子供たちのためになる」(久美子さん)

堂々と生きるための教育でしょ
岐阜県初中・中2 金里恵さんのオモニ 千尋さん


 現在、岐阜朝鮮初中級学校(岐阜県羽島郡)中級部2年の金里恵さんは初級部4年の時、日本学校から朝鮮学校に編入した。ずっと朝鮮学校に通った父親がそれを強く望んだためだ。

 母親の千尋さん(39)は「正直言って悩んだ。でも、ここは朝鮮人差別の残る日本社会だからこそ、父親のこと、朝鮮のことを知らなくてはならない。私は日本人だから日本のことも知って欲しいけど、それは本人次第でいくらでも学べるから」と語る。

 千尋さんの教育方針は、「勉強よりも人に迷惑をかけず、人の気持ち、人の痛みが分かる人間になってほしい。あとは自分の考えを持って、自分で自分の人生を決めていけばいい」。その意味で、今のところ朝鮮学校に不満はない。

 「今の日本にはいろんな国の人が生きている。なのに、朝鮮人をはじめ外国人が差別されるような事件が起きる。里恵には、差別する側の人間には絶対になって欲しくない。朝鮮学校の生徒ですって堂々とできる社会にするのが大事だ。そのための教育をやっているのが朝鮮学校でしょう」

 「私は日本人だけど、この子を守るため、学校のために協力できることはしたい」という千尋さんは、学校を支えるオモニ会の活動にも熱心だ。 (韓東賢記者)

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