春・夏・秋・冬

 東大医学部の石川隆俊教授らの研究グループがこのほど、ゴマの実から抽出したセサミンが、肝臓がんの発生を抑えることをラットの実験で確認した。セサミンは、体内で発がんの一因になる水酸や活性酵素を消去する。この抗酸化作用が効いたと研究グループではみている

▼セサミンとはゴマ(英語でセサミ)の実に多量に含まれる成分で、ゴマ油からも取れる。抗酸化作用があり、体に優れた栄養素として注目されていたが、がん抑制の実証は初めて。石川教授は「効果がはっきり出て、驚いた。普段食べている物の成分で、これほど効くのは珍しい」と話す

▼ゴマの原産地はインドあるいはアフリカとも言われ明らかでない。東方へはシルク・ロードを経て西域(胡)から中国に伝わったので、漢字では胡麻と書く。脂肪、たんぱく質に富み、古くから仙人食、「万能食品」といわれ植物性栄養食品のうちで最も重要視されたものの1つである。強壮、解毒などの薬用も兼ねて広く普及した

▼種子には45〜55%の油を含み油料作物の中ではもっとも高い。昔は灯油とし最上等とされた。俗語の「ごまをする」というのは、あっちこっちにベタベタつくことから出たといわれる。また「ごまかす」というのは、どんな食品もごまを加えると美味に化すとの意味

▼ところで朝鮮民族は、そのゴマとゴマ油を料理の素材として実に豊富に使う。レバ刺しのタレに使い、餅や海苔にも塗って食べる。あえ物、煮物、焼き物、揚げ物など、たいていの料理にゴマ油が使われる。世界に誇る民族料理は、世界に誇る健康食でもあったわけだ。(喜)

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