「改定外登法」 4月1日施行
切替期間延長など変更/「常時携帯・提示」変わらず


不提示の罰金制度は残る
治安法の本質、依然維持

 一部改定された外国人登録法(外登法)が、来月1日から施行される。主な改定点は、指紋押捺制度の全廃、外国人登録証明書(外登証)切替期間の延長、職業など一部記述の登録事項からの削減など。だが、総聯と在日同胞が一貫して廃止を求めている、外登証の常時携帯・提示義務、一部軽減された以外のほとんどの刑罰規定は残されたままだ。改定の内容と問題点について見た。

指紋押捺を全廃

 外登法の一部改定案は、昨年3月に日本政府が閣議決定、8月に衆院本会議で可決・成立された。

 主な改定点は次のとおりである(別表参照)。

 指紋押捺制度については、非永住者(1年以上の在留期間を付与された者、通算1年以上在留することとなる者)の押捺義務をなくし、永住者と特別永住者(在日同胞はこれに該当する)と同様、署名と家族事項を代わりに登録する(永住者と特別永住者については、1992年の前回改定時に同様の措置が取られている)。

 また、外登証の切替期間が現行の5年から7年に伸び、登録事項のうち「職業」「勤務先などの名称・所在地」が削減され、居住地などの変更登録申請を同居する親族が代理できるようになる。

 さらに、特別永住者が外登証の常時携帯義務に違反した際の罰則が、刑事罰の「20万円以下の罰金」から、行政罰の「10万円以下の過料」に改められる。

 なお、昨年8月の改定案可決の際には、△外国人の人権尊重の立場から外国人登録制度のあり方を検討する△常時携帯義務の必要性、合理性を十分に検証し、抜本的な見直しを検討(特別永住者に対しては歴史的経緯などを十分に考慮)する――など、7項目の付帯決議も採択されている。

取締対象は同胞

 今回、指紋押捺の全廃や切替期間の延長など一部が改定されてはいるが、これまで求められてきた抜本的改正には程遠い。抜本的改正の主な内容とは、外登証の常時携帯・提示義務と刑罰規定の廃止である。

 外登法は、外国人を監視対象と見なして動向を常に掌握するためのもの。適用される外国人の約半数が在日同胞であることから、外登法の本質は「朝鮮人取締法」にほかならないと指摘されてきた。

 表面的にいくら変えたところで、常時携帯・提示義務と刑罰規定がなくならない限り、取締法という本質に変わりはない。

 不携帯が行政罰になっても、不提示は刑事罰のままだから、たとえうっかりであっても、警官に外登証の提示を求められた際に持っていなければ、罰金が課せられるうえ、前科が付く。持っていなければ提示もできないのだから、結局は提示のために外登証を持たざるを得なくなる。

 罪を犯したわけでもないのに「常に管理・監視されている」「いつ、どこで逮捕されるか分からない」とびくびくしながら、外登証の常時携帯という不便な状態を続けなければならないのである。その精神的苦痛は計り知れない。

 常時携帯・提示義務と刑罰規定が残るということはすなわち、外国人を引き続き罰則をもって取り締まるということ。これが変わらない限り、外登法が改正されたとは言い難い。外国人を取締対象と見なす外登法の治安立法的性格に何ら変わりはないのだ。

 同胞法律・生活センター(東京・上野)の殷宗基所長も、今回の改定について、「一部の手直しで法の本質をごまかすもの。目先の改定にすぎない」と強調、常時携帯・提示義務と刑罰規定の廃止がなされてこそ、真の改正と言えると指摘する。(柳成根記者)

外国人登録法の主な改定点


指紋押捺制度の全廃
   永住者と特別永住者に加え、非永住者についても、指紋の代わりに署名と家族事項を登録する形に

外登証の切替期間の延長
   現行の「5年ごと」から「7年ごと」に

一部登録事項の削減
   「職業」「勤務先などの名称・所在地」を削減

代理申請の範囲拡大
   居住地などの変更登録申請を、同居する親族が代わりにできる

刑罰規定の一部緩和
   特別永住者が常時携帯義務に違反した際の罰則を、刑事罰の「20万円以下の罰金」から、行政罰の「10万円以下の過料」に。ただし、提示義務違反の罰則については、刑事罰のまま

その他
   登録原票の一定範囲内での内容開示が可能に

健康・趣味 社  会 社会・生活