取材ノート
現実を変える努力
卒業の季節だ。
オモニ、アボジ達も卒業。オモニ会、アボジ会を、だ。
この間、休日の校庭で多くのアボジ、オモニを見てきた。古くなった校舎の壁や、壊れた備品を修理する日曜大工、時には温かい料理を、と給食をつくるオモニたち…。
黙々と働く彼らの姿は、いつ見てもすがすがしいものだった。学校を取り巻く現状は厳しいが、その打開策を実践で訴えていたように思う。
それは、これからの学校の「未来」を作っていこうという「意思」が生み出していた。各地で定着したバザーはその一例だろう。
朝鮮学校の保護者たちは、財政難を抜本的に改善しようと、各地で地方自治体へ助成金支給を求めているが、まずぶち当たるのが民族教育に対する行政の「理解不足」「無知」だ。理解を広めるため、幅広い日本市民に「ありのままの朝鮮学校」を見てもらおうと企画されたのが公開バザーだった。
4年前に初めてバザーを開いた東京第9初級の保護者らはその後も日本市民との交流を重ねた。その過程で都民の生涯学習を担当する教育委員会のメンバーが学校を訪れ、民族教育に対する理解を深めた。バザーの試みは近隣に「波及」した。今や朝鮮学校を訪れる日本市民の数は全国で年間数万人に上る。助成金アップにつながるには時間がかかるだろうが、続けていけば、民族教育を否定する制度の「山」は崩れるだろう。
今春、アボジ会の会長職を退いたある同胞は、4年間の活動を通じて「歴史的な使命を感じた」と話していた。現場を支えながらの「責任ある改革」。物事を変える大事な要素を学ばせてもらった。 (張慧純記者)