空き缶リサイクル、東京第1初中校オモニ会
月1回の回収、6年目
作らない、再利用から循環
変わるごみに対する考え
3月中旬に、「循環型社会基本法案」(仮称)が国会に提出され、4月からは、「容器包装リサイクル法」(容リ法)も本格施行となり、ごみリサイクルに対する認識が高まっている。東京朝鮮第1初中級学校のオモニ(母親)会が中心となって行われている空き缶収集のリサイクル運動は今年で6年目になる。現場を見てみた。
はじめて1トンに
毎月1回、東京・荒川区の東京朝鮮第1初中級学校に、2トントラックが回ってくる。同学校に子どもを通わせているオモニ(母親)たちが集積したアルミ缶を回収するためだ。アルミ缶の回収は、今年で6年目を迎えた。
少しでも学校のために何かしたいと、オモニたちがボランティアで空き缶を回収し、その収益金を預金して、学校のための活動資金にあてている。また回収を通じて、ごみリサイクルに対する認識を、子どもにも持ってほしいという思いがあった。
昨年、年間に集積した空き缶は、開始して初めて1トンを越えた。オモニたちの活動を聞き、孫のためにとハルモニたちが朝の散歩の途中に、空き缶拾いを始めたことや、参加するオモニが一人ずつ増えていったことがそれにつながった。
以前は古紙を集めていたが、価格の下落で業者が引き取らなくなったことや、学校を拠点にしているため業者が回収に来るまでの保管場所に困る、火災の心配があること、そして、重いので運ぶのに骨が折れるとの理由から、アルミ缶に変えた。
学校の近所に住んでいない家庭でも、ほとんどが子どもに集めた空き缶を持参させている。
最終責任まで
オモニたちの代表として業者の回収に立ち会ってきた孫永春さん(41、荒川区東日暮里在住)は、「集めているのは空き缶だけど、ほかのごみに対する認識も変わった」という。ごみを減らすには、ごみを作らないことだが、「1回しかリサイクルできないのは、本当のリサイクルにはならない。1回だけの再利用は、結局はごみになるのだから同じこと」。循環させなければ、根本的なごみ減らしにはならないことを認識した。
製造する側が、繰り返し利用できるものを作るという発想に変えていかなければ、というオモニたちの一致した意見である。
「売った側が最終責任を負うのは当然。今、生きている時代だけではなく、次世代のことを考えれば環境問題に行き着くし、作るものも変わるはずだ」(孫さん)
消費者の自覚も
表永愛さん(38、荒川区西尾久在住)は、製造者側にだけ負担させるという発想が環境保護につながるのかといえば、そうは言い切れないという。
学校での空き缶集めもあって、家のベランダには分別用のごみ袋が幾つも置かれ、植木や洗濯物よりも位置を占めている。
集めた空き缶は、残りかすや匂いが残らないように洗った後、うつぶせにして乾かす。風の強い日は、飛ばないように1つ1つに押さえを施している。スーパーで回収しているペットボトルや、トレー、プラスチック容器なども同じだ。
「リサイクルなのだから、いつかはまた、自分の口に入れるものとして戻ってくる。だから、きれいに扱いたい」(表さん)
結局は、「どんな法をつくっても、意識が伴わなければ、環境保護にはつながらない。法に盛り込まれたものだけを再商品化すればよいというものでもない」と、消費者の自覚が必要だと付け加えた。 (金美嶺記者)
循環型社会基本法案(仮称)
リサイクル関連法を統括する基本法として昨年秋から検討が始められ、3月中旬に国会に提出される。メーカーが使用済み製品を回収し、リサイクルする義務を負う。対象品目については個別法で検討する。