世界の旅から
私の出会った女性たち−早乙女勝元
「10万人が一夜にして焼死した」1945年3月の東京大空襲。その惨劇を語り、訴え、書いてきた。小説、記録、児童文学、エッセー。これまで出版した100数10冊にのぼる著書からは「あの日の惨劇を忘れまい」とするメッセージが脈打つ。
本書はそうした戦争によるもっとも過酷で悲痛な体験が、一般市民の中でも、とくに女性や子供に集中していることを当事者たちの証言で明らかにしている。著者の視点は朝鮮半島だけでなく、アウシュビッツ、中国侵略で日本軍の悪行として特筆される南京大虐殺の現場、日本の植民地となった台湾で、多くの住民が虐殺された先住民族タイヤル族などあらゆる現場へと広がる。史料を丹念に掘り起こし、現場を踏み、生証人と語り合う姿は圧巻。(2200円、株式会社草の根出版会、東京都文京区大塚3―4―13、TEL 03・3943・9393)