大阪朝高ラグビー新人戦で初V
「花園」へ好スタート


一丸となったチーム¢ホ戦した大阪桐蔭高校の仲谷監督
シーソーゲーム、のびのびプレーで制す

 「ピー」。ノーサイドのホイッスルが高らかに鳴り響く。その瞬間、応援席に陣取っていた大阪朝鮮高級学校在校生、ラグビー部選手の父母やOB、そして同胞たちの間から「マンセー(万歳)」の大合唱が沸き起こった。選手らも顔をくしゃくしゃにして抱き合う。13日に大阪・花園の東大阪ラグビー場で行われた第51回近畿高等学校ラグビーフットボール大会(大阪府予選)Dブロック決勝戦。府の新人戦を兼ねた同大会で、大阪朝高は大阪桐(とういん)高校を17―10で破り、優勝した。1994年の春期大会でブロック優勝しているものの、同校が新人戦で優勝するのは初めてだ。

 今大会に出場したチームは、昨年秋の全国高校ラグビー府予選決勝戦後、1、2年生によって新たに組まれたチームである。昨年、一昨年と決勝にまで残った「大阪朝高」の看板を背負っているとの自負が、2ヵ月余りで優勝できるチームにまで仕上がった原動力になったと言える。

 横しまのジャージの大阪朝高は、前半13分にペナルティーゴールを決められ、先制点を奪われるが、15分にトライを決め、前半をリードした。後半10分にもトライ。しかし、21分に同点のトライゴールを奪われ、まさに手に汗握るシーソーゲームとなった。

 しかし、その3分後、大阪朝高はゴールラインを背に、低い姿勢で激しいタックルを繰り返し、ボールを奪うと、相手のゴール前まで一気に攻め込んだ。そして、ラインアウトへボールを押し込み、駄目押しのトライゴールを決め、勝利を決定づけた。

応援にかけつけた父母やOBらと共に

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 最初のトライを決めたのはキャプテンの洪星真君(2年)。「練習の時のように思い通りプレーができた」と、終始笑顔が絶えない。

 その隣で、これまた笑みの絶えない洪君のオモニ、金安子さん(42、事務員)。応援のたびにルールが分かってきたという「追っかけオモニ」である。

 「試合を重ねるたびに自信をつけてきている。出来ること、すべてをバックアップしていきたい。選手たちの活躍する姿は、同胞たちに大きな励みとなっている」と話す。

 大阪桐高校の仲谷弘麿監督(53)は、「朝高は一丸となって向かってきた」と、チームワークの良さを称えた。

 大阪朝高の金信男監督は、「のびのびとリラックスしてプレーしていた。2000年初の公式戦を優勝で飾れてうれしい。これをステップに、これからの一戦一戦を着実にたたかい、今年こそは花園への切符を手にしたい」と、正月の全国大会出場への意欲をのぞかせた。大阪朝高は昨年、一昨年と決勝まで進みながら、全国大会への出場は果たせないでいる。「今年こそは」との思いは、監督だけのものではない。全国大会へは、大阪から3校が出場でき、予選は秋に行われる。

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 新人戦は4ブロックに分かれて行われた。Aブロックは98年度全国大会優勝の啓光学園高校、Bブロックは同年準優勝の大阪工業大学高校、Cブロックは99年度優勝の東海大仰星高校と、全国レベルの強豪校がそれぞれブロック優勝した。

 ブロック優勝校は、3月中旬に行われる近畿大会(16校が参加)に出場する。上位2チームが全国選抜大会への出場権を獲得できる(3位は推薦)。

 また、今回ブロック優勝した4チームは、大阪府春期大会にシード校(3回戦から出場)として、3ブロックに分かれて出場する。                                    (羅基哲記者)