ニュースの眼
南朝鮮与党の公認候補発表/
「議員不適格者名簿」採用率は46%
激戦区だけの政治改革
怒る市民団体、公認無効運動宣言
与党民主党(前国民会議)が17日、党公認候補者の第1次名簿を発表した。連立与党の自民連、野党のハンナラ党もそれぞれ18日に名簿を発表する。先月、市民団体が「議員不適格者名簿」を公表するなど、南朝鮮の選挙運動史上、初めての「落選運動」が盛り上がっているだけに、各党の公認名簿発表は注目されていた。しかし民主党は、市民団体が公表した「不適格者議員」18人うち、7人を公認からはずしただけで、「たいへん失望した」(総選市民連帯)結果に終わった。
少数与党の金大中「政権」にとって今回の選挙は、なにがなんでも勝たなければならない。とくに連立を組む自民連との関係が悪化している中で、選挙の勝敗は、金「大統領」の今後の政局運営を左右する。
したがって、民主党が発表した公認候補名簿は、「当選可能性を最優先した」(ハンギョレ新聞18日付)点が大きな特徴となっている。
それは、最大の激戦地である首都圏に386世代と呼ばれる30、40代の青年層を抜擢(ソウル415選挙区中30代9人、40代7人)したところに現れている。
386世代というのは、30代で、80年代に大学へ行き、60年代生まれの世代という意味。80年代が学生運動の全盛期だったことから、民主化運動の一勢力として南朝鮮では認知されている。
「統一の花」林秀卿さんが平壌で開かれた世界青年学生祭典(89年)に参加した当時、「全国大学生代表者協議会」の議長だった任鍾皙氏や初代議長のリ・イニョン氏、高麗大学総学生会長だった許仁会氏ら学生運動出身者5人が公認名簿に入っている。
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これだけ見ると民主党は、公認候補選定過程で、いかにも世代交代、政治改革の断固とした意思を示したようだが、決してそうではない。
冒頭にも触れたように民主党は、市民グループが「不適格者」として党に公認しないよう求めていた現役議員8人を公認候補に選定した。とくに「落選運動」を別々に推進している3つの市民グループが一致して名指しした、いわゆる「落選三冠王」と言われる人物が4人も民主党の公認名簿に含まれている。
市民グループが公開した「名簿」は、「絶対に公認してはならない最小限の対象」(総選市民連帯)である。
民主党が首都圏で若い世代を全面に押し出す一方で、党の公認を受ければ当選間違いない全羅南北道の選挙区に、市民グループが反対している候補を立てた背景には、激戦区では浮動票を狙って知名度のある人物を立て、安定区では党=「大統領」に忠実な人物を立てるという金「大統領」の遠謀深慮があると言えよう。
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各党ともに、党の公認候補を選定する際、市民グループが公表した名簿を参考にすると表明していた。しかし、いざ名簿が公開されると名誉総裁の金鍾泌が名指しで非難された自民連や、大量の現職議員が烙印を押されたハンナラ党は、青瓦台(大統領府)が市民グループを背後操縦しているという「陰謀説」を持ち出して反発した。
自民連、ハンナラ両党は、18日に公認名簿を発表するが、現在まで伝えられている限りでは、市民グループの「不適格者名簿」を参考にしたとは考えにくく、ハンナラ党の場合、逆に「名簿」が李会昌総裁派閥の拡大に利用されているとの指摘がある。
民主党を含む各政党のこうした動きに対して市民団体は、公認無効運動を宣言し、「落選運動」を再度、盛り上げていく方針を固めた。
今月8日に改正された南朝鮮の選挙法は、それまで禁じていた市民団体の選挙運動を容認し、公認反対、名簿公開を認める一方で、街頭キャンペーンなどの落選運動を違法行為としている。
これに対して市民団体は当初、選挙法不服従運動を大々的に展開すると表明していたが、いたずらに「違法運動」を行って体力を消耗させるよりも、さらに広範な市民に参加を促して運動のエネルギーを補給する方向に戦術上の方針変更を行い、「落選運動」は、一時に比べて小康状態にあった。
しかし各党の「議員不適格者」公認に、市民団体が猛反発し、「落選運動」が再び盛り上がろうとしているのだ。
(元英哲記者)